前回のテレビ討論会から約1か月、最後の討論会となる第三回目は
「PiliPinas Debates 2016: The Presidential Debate」と題し、
パンガシナンにての開催。
候補者全員が出席した最終討論会、5/9の投票日に向けて白熱した議論が交わされました。
(写真)大統領候補者が勢ぞろいした最終討論会。 ABS-CBN News よりJonathan Cellona氏撮影
ABC-CBN、Manila Bulletin、KBP(フィリピン放送協会)の協力で行われた今回の討論会は、タウンホール形式で進められました。
候補者と聴衆が直接対話できるのが特徴のタウンホールミーティングですが、本領を発揮したのは、現副大統領のジェジョマル・ビナイ氏。聴衆から質問が出ると、質問者の側へ歩み寄って返答することで他の候補者たちとの差をつけました。
SNSが盛り上がったのは、ダバオ市長ロドリゴ・ドゥテルテ氏が上院議員のミリアム・デフェンサー・サンティアゴ氏の健康状態について深く追求をしなかった場面。一時期、ドゥテルテ氏とミリアム氏の名前を掛け合わせたハッシュタグ#DuRiamでツイートする視聴者が急増しました。
政策に関してもPhilHealthがミリアム氏の意見を引用する場面が見られました。
今回の討論で話し合われた主な議題は6つ。
議論が長引いたのは国の労働問題であるContractualizationと呼ばれる労働の契約化について。候補者全員がこのcontractualizationには反対の姿勢を表明しました。上院議員のミリアム・デフェンサー・サンティアゴ氏はこの問題について、「このような労働の契約化は憲法違反であり、罰則も考慮する」と述べ、他の四人もこれに同意しました。
それぞれの候補者がこの問題についての独自の見解を述べ、ENDOと呼ばれる契約終了システムには強い懸念を示しました。
各候補者のENDOについての見解は次の通り
・市長ロドリゴ・ドゥテルテ氏「反ENDO法案を就任から一週間以内で通す。国民のチャンスをもぎ取るようなシステムは反対」
・現上院議員グレイス・ポー氏「ビジネスオーナーがやむを得ずContractualizationを遂行しないですむよう、法人税の引き下げを実現したい」
・元内務地方自治省長官マル・ロハス氏「雇用を増やすために、経済発展地区を広げていきたい」
・上院議員ミリアム・デフェンサー・サンティアゴ氏「雇用を創出するためインフラ計画を進めていきたい。所得税と法人税を引き下げたい」
討論会では健康保険問題についても真剣な議論がなされました。ダバオ市民がPhilHealthからの恩恵を受けていないのではないか、と言うダバオ市長ドゥテルテ氏の発言に対し、そんなことはないと真っ向から反論したロハス氏。もし発言の確証が取れなければ大統領選から撤退するように、とドゥルテ氏に迫りました。
・ロハス氏「各バランガイに充実したヘルスセンターを設立したい。また地方の村にもサービスが行き渡るようにしていきたい。PhilHealthのカバー内容をより良くしたい」
・ビナイ氏「マカティのヘルスケア政策を充実し、入院費の無料化と加入制限の緩和を図りたい」
・サンティアゴ氏「PhilHealthのカバー内容の拡大と(国民の生活水準を引き上げる)CCTプログラム(条件付現金給付制度)をより良いものにしたい。PCSO(フィリピン慈善宝くじ協会)に医療費の助成金を申し込むときに必要な議員の紹介状を簡略化のため廃止したい」
・ドゥテルテ氏「PAGCOR(カジノ運営公社)の資金と歳入を運用し、その利益を貧困層の医療費に当てたい。また、国のすべての病院に8床から20床の無償ベッドを設置したい」
・ポー氏「スカラーシッププログラムを利用し、各市町村に最低でも1人の医者を配置したい。市民病院の施設をより良いものにし、入院費の負担を減らしたい」
その他の議題は南シナ海の領有権を巡る問題、交通状態について、OFW(フィリピン人海外就労者)に関する懸念、ミンダナオ島の平和維持などについて議論が交わされました。
最も議論が白熱したのは、候補者同士による質疑応答の場面でした。
続いての、2分間で次々と質問に答えていくファスト・トークでは、モデレーターのKaren Davila氏とTony Velasquez氏が鋭い質問を候補者に投げかけました。
各候補者への主な質問は次の通り
・ビナイ氏-ドゥテルテ市長の処罰について。マルコス元大統領の不正蓄財をどうするか。(マギンダナオ大量虐殺で関与している)アンパトゥアン(Ampatuan)族の件について。
・サンティアゴ氏―本人の健康状態について。マルコス元大統領の英雄墓地(Libingan ng mgaBayani)の埋葬問題について。
・ドゥテルテ氏―子供たちに良いロールモデルでいるには。内閣での女性の地位について。軍事法案について。
・ポー氏―自身と夫の市民権問題について。アブ・サヤフ・グループと戦争にもつれ込んだ場合、アメリカの援助をうけるかどうか。
・ロハス氏―tanim-bala問題についての現在の内閣政府の対策について。台風ヨランダ復興計画について。
総括すると、第三回討論会でそれぞれの政策や考えが明確になったといえるでしょう。
前回までの討論会ですでに議論された議題もありましたが、まだ候補者を決めかねていた人は今回の討論会ではっきりと支持者が見つかったのではないでしょうか。
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