JETROフィリピンは4月10日、新型コロナウイルスの影響を加味した3月のインフレ率に関する新しいビジネス短信を発表しました。
3月のインフレ率は2.5%、外出禁止など隔離措置発動後も物価は安定性を確保
フィリピン統計庁(PSA)は4月7日、3月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は2.5%で、3.3%を記録した前年同月や2.6%だった前月から減速したと発表した。
フィリピン国内では、3月16日付でマニラ首都圏を含むルソン地方全体に外出禁止令や公共交通機関停止を含む広域隔離措置が発動されたことに伴い、モノの移動が制限されることで急激なインフレが生じることが懸念されたが、地元メディアによると、3月17日付で政府が医薬品や食品、農産品など生活必需品の不当な値上げを禁止する通達を発出したことに加え、食品や医薬品など生活必需品の国内外物流は止めないという方針を政府が示したこともあり、物価は安定性を確保した(「インクワイヤー」4月8日)。
内訳をみると、CPIバスケットの32%を占める食品・非アルコール飲料のインフレ率が2.6%と、前年同月の3.4%から0.8ポイント低下した。そのほか、住宅・水道光熱費(1.1%、前年同月比2.0ポイント減)、余暇および文化(1.6%、1.5ポイント減)、レストランおよび雑品(2.6%、1.1ポイント減)、医療(2.9%、1.3ポイント減)といった品目も低下した。公共交通機関が停止したこともあり、交通はマイナス1.8%となり、前年同月から6.1ポイント減と大幅に低下した。一方で、アルコール飲料・たばこ製品は18.0%と、前年同月から7.2ポイント上昇した。
フィリピン開発予算調整委員会(DBCC)は2019年12月、2020年から2022年までの3年間のインフレ率の目標を2~4%に据え置くと発表している(2020年1月10日記事参照)。