JETROフィリピンは7日、健康・スポーツ分野でのオンライン商談会に関する情報を発表しました。
健康・スポーツ分野でのオンライン商談会を開催
ジェトロは1月21日、フィリピンの健康・スポーツ分野のオンライン商談会を開催した。日本からは健康食品、アウトドア用品、衛生用品など5社が参加した。食生活の変化によって生活習慣病を患う人が増加する中、健康・スポーツ分野の市場拡大の期待が高まっている(注)。
商談会には、フィリピン最大手の薬局などへの卸販売を行う会社や、多くのスポーツブランドと代理店契約を締結する卸・小売りの会社が参加した。過去に日本企業との取引実績もある。
商談会に参加したシナノは、運動効率の向上を目的としたフィットネス用のウォーキングポール、転倒予防・安定歩行・姿勢改善などを目的とした高齢者向けウォーキングポールを販売している。日本人向けに開発された製品は、フィリピン人をはじめとしたアジア各国の体型にもグリップの形やポールの長さがフィットする。同社は「今後のフィリピンでの展開の可能性を感じた」と、人口ボーナスが続くフィリピン市場への参入に自信をのぞかせた。
また、バイヤー企業からは、インドアスポーツ用品やフィットネス用品などが、新型コロナウイルスの感染拡大でトレンドになっており、日本企業の参入余地があるとの声があった。
新型コロナを機に運動を開始する人が増加
フィリピンの健康系アプリ「REBEL」が2021年6月に700人を対象に実施した調査によると、約35%は新型コロナウイルス感染の拡大を機に運動を開始したと回答した。同社は「パンデミックを機に、ワークアウトの重要性に気づかされており、健康・スポーツ分野の市場拡大の潜在性は誰もが認めるところ」と述べている(「ビジネス・ワールド」紙2021年7月28日)。
また、メトロマニラ首都圏での徒歩と自転車による移動を促進する団体エムエヌエルムーブズの推計によれば、同首都圏では既に50万人以上が通勤に自転車を使っている(「インクワイアリ―」紙2021年11月29日)。
(注)所得の向上やライフスタイルの変化に伴って、人々の食生活が欧米型にシフトし、肥満や糖尿病などの生活習慣病患者が増えつつある(2019年5月9日付地域・分析レポート参照)。フィリピン政府は、国内で増加し続ける肥満や糖尿病対策を目的に、2018年1月から加糖飲料への課税を実施するなどの対策を講じている(2018年3月27日記事参照)。
2019年2月には、日本政府が推進しているアジア健康構想を通じ、両国のヘルスケアと健康分野における協力の深化を図り、民間事業の振興を図ることを目的として、「日本国内閣官房健康・医療戦略室、日本国厚生労働省及び日本国経済産業省とフィリピン共和国保健省との間のヘルスケア分野における協力覚書」を締結している。
(須藤真)