JETROフィリピンは10日、ワクチン調達・接種についての情報を発表しました。
ワクチン調達・接種、2月中旬から開始の見込み
フィリピン大統領府のロケ報道官は2月8日、世界保健機関(WHO)の「COVAXファシリティー」(注)を通じて、2月中旬にも新型コロナウイルスのワクチンを調達し、接種を開始すると発表した(政府通信社2月8日)。
最初に調達するワクチンは、ファイザー・ビオンテックの共同開発ワクチンと、アストラゼネカのワクチンを予定している。フィリピンはCOVAXファシリティーを利用し、2月に11万7,000回分のファイザー・ビオンテックのワクチン調達を見込む。アストラゼネカのワクチンは、第1四半期(1~3月)と第2四半期(4~6月)に550万回分から929万400回分の調達を行うと発表している。
フィリピン政府は2月5日、ワクチンを優先的に接種する対象を発表している。それによると、医療関係従事者など、最前線で感染対策に従事する者、60歳以上の高齢者や他の疾患を有する者を優先する。ワクチン到着から1カ月以内に、優先度の高い医療関係従事者へのワクチン接種を完了させる意向だ。フィリピンでは、2021年に5,000万~7,000万人に接種を行うことを計画している(フィリピン国営通信1月27日)。
地方自治体がワクチン接種計画の実施を主導
フィリピン保健省(DOH)が1月に暫定的に策定した、「新型コロナウイルスのワクチン接種計画書」によると、地方自治体は、DOHや省庁横断型の政府組織「新型コロナウイルス・ワクチン・クラスター」、および民間企業と協力し、管轄地域内でのワクチン接種計画の実施を主導する。
さらに、管轄地域内のワクチン接種計画の進捗を監督し、接種状況などに関する情報提供を行う「ワクチン・オペレーションズ・センター」を組織し、接種対象者や接種場所を策定する。また、ワクチンの輸送・保管を行うコールドチェーン物流について、その容量を確認する。なお、同国では、コールドチェーン物流が不足する可能性が指摘されており、接種計画の実行に当たって障害となりうる(2020年12月24日記事参照)。
地方自治体は、ワクチン接種計画のシミュレーションを進めている。マニラ首都圏のマカティ市では、学校や競技場など、32の場所をワクチン接種のスペースとして利用する予定だ(政府通信社2月8日)。同市では、2カ月間で1日当たり1,000人のペースで医療関係従事者などにワクチン接種を行い、その後、高齢者や18歳以上の居住者へと接種対象を広げていくと発表している。
(注)WHOなどが立ち上げた、新型コロナウイルスワクチンの公平供給を目指す国際的な枠組み。
(吉田暁彦)