JETROフィリピンは2日、新型コロナウイルスに関連する経済動向の新しい情報を発表しました。ASEAN主要5カ国の輸出に関する内容です。
ASEAN主要5カ国の輸出、3月は前年同月比4.7%減
ジェトロがグローバル・トレード・アトラスの貿易データ(原データは各国通関統計)から計算したところ、2020年3月のASEAN主要5カ国(タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、以下ASEAN5)の輸出額の合計は、前年同月比4.7%減の897億ドルとなった(添付資料表1参照)。特にフィリピンの輸出が23.2%減(45億ドル)と最も落ち込みが激しく、続いてマレーシアが9.5%減(187億ドル)、シンガポールが5.3%減(309億ドル)だった。
一方、タイは3.5%増の216億ドルと増えた。2020年第1四半期(1~3月)でみると、ASEAN5の輸出額の合計は前年同期比1.7%減の2,668億ドルと微減になった。
また、ASEAN5の2020年3月の輸入額は、前年同月比4.1%減の849億ドルだった。輸出と同様、フィリピンが23.3%減(69億ドル)、マレーシアが7.6%減(158億ドル)、シンガポールが4.2%減(285億ドル)の順で減少率が高かった。しかし、タイは6.0%増の203億ドルと拡大した。2020年第1四半期のASEAN5の輸入額は2.8%減の2,560億ドルでやや減少した。
各国で金の輸出が大幅増加
ASEAN5の輸出データを品目(HS番号2桁の分類)ごとに合計すると、2020年3月は貴金属・宝石が前年同月比50.5%増の51億ドルと際立って増加した。貴金属・宝石の輸出はタイで70.4%増、シンガポールで68.1%増、インドネシアで34.8%増と大幅に拡大した。新型コロナウイルスのまん延を受けて、各国からシンガポールや米国、香港、スイスなどに金を送る動きがみられ、有事の対応とみられる。また、油脂も4.4%増の27億ドルと増えたが、その他の主要品目は軒並み減少している(添付資料表2参照)。
同様に、ASEAN5の輸入データを品目ごとに合計すると、2020年3月では一般機械が13.9%減と特に減少率が高かった。同品目が特に減少したのはフィリピン(23.3%減)、マレーシア(7.6%減)、シンガポール(4.2%減)の3カ国だった。フィリピンの一般機械の輸入元の上位4カ国である中国(28.6%減)、日本(26.5%減)、韓国(22.7%減)、米国(27.6%減)は、軒並み2~3割減となった。
ASEAN5の輸出先を国・地域別でみると、ASEAN域内への輸出は3.3%減の240億ドル、ASEAN域内からの輸入は5.4%減の193億ドルだった(添付資料表4、表5参照)。
(北見創)
(ASEAN、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール)
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