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未来をつなぐ絆――JICA海外協力隊フィリピン派遣60周年!記念式典開催
2025年09月01日更新

2025年8月28日、フィリピン・マニラの在フィリピン日本国大使公邸にて、「JICA海外協力隊フィリピン派遣60周年記念式典」が開催されました。半世紀以上にわたり築かれた日本とフィリピンの草の根レベルの信頼と友情を称え、両国の政府関係者や現役隊員が一堂に会し、国際協力の成果と未来への展望を分かち合いました。

 

国境を越えた友情の証、60年の軌跡

 

1965 年、JICA 海外協力隊事業が開始され、翌年最初の隊員12名がフィリピンに派遣されて以来、これまでに約1,700名の日本人隊員がこの国のさまざまな分野で活動してきました。農業、防災、教育、保健医療、障害者支援など、多岐にわたる貢献を通じて、地域社会と共に発展を支えてきたその歩みは、まさに日本とフィリピンの深い友情の象徴です。

 

 

式典は午前9時に開会し、日本とフィリピン両国の国歌斉唱の後、挨拶に立った在フィリピン日本国大使・遠藤和也大使は、「60年間、協力隊員たちは技術や知識を提供するだけでなく、フィリピンの人々と生活を共にし、文化を理解し、真の友情を育んできました。こうした人と人とのつながりこそが、日比友好の礎であり、私たちの誇りです」と両国の築かれた良好な関係性を協調しました。

 

続いての来賓からの祝辞で、壇上に立ったフィリピン共和国上院議議員で比日友好議員連盟会長のフアン・ミゲル・ズビリ氏は、「JICAの協力は、防災や農業、公共インフラなど、私たちの暮らしに欠かせない分野で大きな変化をもたらしてきました。

 

しかし、その中でも最も尊いのは、協力隊の隊員による人と人との交流です。1700名の日本人隊員が残した功績に、深い敬意と感謝を表します」と謝意を述べ、続いて経済企画開発省(DEPDev)アバット・サントス次官、日本JICA議員連盟甲会長の小渕優子議員らが登壇し、それぞれが協力隊の意義と今後の期待を語りました。

 

歴史に刻まれるJICAの精神

 

プレゼンテーションでは、JICAフィリピン事務所長・馬場隆氏が登壇し、協力隊派遣60年の歩みを振り返りました。

 

 

「1966年に最初の隊員12名が派遣された当時、彼らは言葉も文化も異なる中で、笑顔を忘れず、地域の人々と同じ釜の飯を食べながら信頼関係を築きました。今日の良好な日比関係は、こうした草の根の努力があってこそです」

 

そして初代隊員のベンゲット州での活動や、農業振興を支えたビニールハウス技術の普及事例など様々な活動が紹介されました。


現在では、フィリピンで活動した協力隊員の派遣数はアジア1位、世界5位を誇ります。また、フィリピンでは16名の協力隊員が活動中であり、来年には30名まで増員される予定です。


また、帰国後も社会貢献を続ける元隊員に対しては「社会還元表彰」が設けられ、フィリピンからは3Dプリント義足の開発などのプロジェクトが受賞しています。

 

馬場所長はまた、JICA協力隊が2016年にラモン・マグサイサイ賞を受賞したことに触れ、「これはフィリピンの皆様との信頼関係の賜物であり、国際社会における日本の協力の在り方が高く評価された証です」と語り、活動の歴史を支えてきた現地関係者への深い感謝そして、今後の協力継続への決意を新たにしました。

 

現地隊員からの声

 

式典では、現在隊員を努める山本士温さんが登壇し、自身の活動や現地との絆について語りました。

 

 

「防災教育を通して子どもたちの意識を変える活動をしています。最初は家族の反対もありましたが、今では現地の方々が“家族”のように接してくれます。この経験は一生の宝です」

会場では山本さんが受け取った「ファミリーデイ記念のキーホルダー」のエピソードが紹介され、参加者全員が温かい拍手を送っていました。

 

閉会挨拶で登壇したJICA理事・大場雄一氏は、「JICA海外協力隊は、現地の人々と共に汗を流し、社会課題に挑む“日本らしいODA”の象徴です。60年の歩みを次の世代へとつなぎ、引き続き、信頼で世界をつなぐ力としてその使命を果たしてまいります」と語り、式典を締めくくりました。

 

本式典は、日本とフィリピンが築いてきた信頼と友情の歴史を讃えると同時に、これからの未来に向けて国際協力の在り方を再確認する貴重な場となりました。人と人との心をつなぎ続けてきたJICA海外協力隊の精神は、今後ますます輝いていくことが期待されています。

 

個々の隊員の活動状況はこちらからご覧ください。

 

 

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