フィリピンでは、税制改革の第2弾(法人向け諸税の見直し)となるCREATE法が成立しました。そこで今回は、フィリピンの法律に詳しい上村信一郎・弁護士に詳細をお伺いしました!また、日本人弁護士が在籍しているフィリピンの法律事務所などもご紹介していますので、ぜひお役立てください。
CREATE法による税制の変更点について
2017年に成立した税制改革第1弾のTRAIN法(共和国法第10963号) に引き続き、第2弾としてCREATE法が2021年3月26日に成立しました。
法人所得税に関する主な改正ポイント
(1)内国法人・居住外国法人・非居住外国法人の法人税率を30%から25%に引き下げ
(2)内国法人・居住外国法人の最低法人税を2020年7月1日から2023年6月30日までの間1%に引き下げ(通常は2%)
(3)2022年1月1日以降、多国籍企業の地域経営統括本部に対しては一般の法人税率(25%)で課税(現在は10%)
(4)不当留保金課税の廃止
他の国々と比べて高率であり、法人税率の引き下げを求める要請もあり、CREATE法においては、全般的に法人税率を引き下げるとともに、不当留保金課税についても撤廃されることになりました。その一方で、多国籍企業の地域経営統括本部に対する低率の法人税率は廃止され一般企業と同等に扱われることとなり、その点では税負担が増えることになります。
付加価値税(VAT)に関する主な改正ポイント
VATが免税となる取引について追加及び修正が行われました。
(1)事業用等でない不動産の取引の際のVAT免税となる取引の金額の引き上げ(土地については250万ペソ、住宅等(コンドミニアムを含む)については420万ペソ)。なお、3年ごとにPSAの発表する消費者物価指数に基づき改訂されることも示されました。
(2)Covid-19対策関係の医療用品(防護服やマスク、フェイスシールド等)の販売や輸入については2021年1月1日から2023年12月31日まで免税取引とされます。
税制優遇措置に関する主なポイント
既に存在する各投資促進機関(PEZA庁など)については、CREATE法により修正を受ける箇所を除き、その権限等については維持されることとなりました。もっとも、例えばPEZA区域に進出する場合、当該企業に対して優遇措置を許可するのは改正後の内国歳入法297条により原則として、後述します財政インセンティブ審査委員会(FIRB)となり、PEZA庁はあくまで優遇許可の付与を推薦する権限を有するにとどまります(なお、10億ペソ以下の投資資本のプロジェクトについては各投資促進機関に優遇措置付与の権限がFIRBより委譲されます)。
★詳しい内容はこちらから!
冒頭でお知らせしましたとおり、CREATE法は2,021年3月26日に大統領が署名したことにより成立しましたが、官報または一般紙上で法律の公布がなされてから15日後に施行となります。また、法律の施行に際して、施行日から90日以内に施行規則も発表されることとされています。
さらに、優遇措置の付与のためには、まず戦略的投資優先計画(SIPP)が決定されることが必要となりますので、実際にCREATE法に基づく優遇措置の付与が始まるまでにはしばらくかかるものと思われます。
詳細はこちらからご確認いただけます!
ほかにも、フィリピンの会計税務に精通した日系会計事務所の「JAPAN QUALITY BUSINESS SOLUTIONS INC. (JQB) - 日本経営グループ」も、CREATE法案についての詳細をまとめています!
こちらからぜひチェックしてみてください!
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