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【特別寄稿】新型コロナウイルスに関して現在できること
2022年07月12日更新

 

現在世界的に急激に増加しつつあるオミクロン株・コロナ罹患者ですが、フィリピンにおける今の罹患情報、病院の状況などを、マニラにあるフィリピンの国立サンラザロ病院でコロナの治療チームを指揮している鈴木秀一さんに寄稿いただきました。

 

長崎大学熱帯医学・グローバルヘルス研究科
鈴木秀一

 

2019年6月よりフィリピンに赴任している鈴木秀一と申します。フィリピン国立感染症専門病院であるサンラザロ病院における長崎大学共同研究拠点のマネージャーをしております。長崎大学では、サンラザロ病院と協働し、フィリピンマニラにおける新型コロナウイルスの感染状況を定期的に把握するための疫学調査をしています。フィリピン保健省等が発表しているデータ、及び、我々の調査を通じて得た情報に基づき、新型コロナウイルスの感染状況と、現在できることについて、私見を紹介したいと思います。

 

マニラにおける新型コロナウイルスの現在の感染状況

 

2021年12月、クリスマスを過ぎたあたりから徐々に、そして、急激に新型コロナウイルス、オミクロン株の流行が始まり、ピーク時には1日当たり4万人の感染者数が確認されました。当時のデータを精査してみると、メトロマニラに住む人々の過半数以上が感染したのではないかと思っています。結果として、ワクチン接種、及び、感染による抗体獲得により、ウイルスが感染しにくい状況が出来上がり、オミクロン株の感染者数は急速に減少しました。フィリピンで新型コロナウイルスの遺伝子配列を解析しているフィリピンゲノムセンターの情報によると、この時流行したオミクロン株はB.A.2.3と呼ばれるの亜系統でした。その後も新型コロナウイルスはフィリピン及び世界中で感染を続け、遺伝子の突然変異を繰り返し、人に感染しやすい等の特徴があるウイルス株や亜系統が生き残っている状況です。そして、現在フィリピンで増加傾向にあるオミクロン株の亜系統はB.A.5と呼ばれ、2022年1月に初めて南アフリカで発見され、B.A.1.やB.A.2、B.A.3に置き換わる形で多くの国々で拡大を続けています。

 

現在の感染者数推移を見ると、2022年7月中旬から増加傾向がみられますが、今後どの程度感染者数が増加するかはまだわかりません。ただし、感染対策として現在できることもありますので、紹介したいと思います。

 

 

健康管理の再確認を

 

フィリピンにおける新型コロナウイルスのワクチン追加接種を行った人数は2022年7月現在1,500万人と、人口の約15%です。同じ職場で勤務しているフィリピン人の従業員の方は、追加接種を済ませていますでしょうか。フィリピン国外のデータになりますが、ワクチンの追加接種により、重症化予防及び感染予防効果があると発表されています。従業員の方のワクチン接種率を上げるために、従業員本人の感染予防だけでなく、従業員本人が感染源となり大切なご家族に感染させてしまうリスクを減らすことも重要であると伝えられるのではないでしょうか。また、糖尿病などの基礎疾患をもっている場合は、感染リスクや重症化のリスクが上昇します。今のうちに健康状態やライフスタイルを再確認し、感染しにくい身体にしていくこともできるかと思います。もちろん、食事前や帰宅後の手洗い、うがいなど続けてください。ちなみに私は、週2回は運動をするようにしています。

 

 

日本からの出張者は感染対策をしっかりと

 

先程も書きましたが、メトロマニラに住む人々は、1月のオミクロン流行時に過半数以上が感染したのではないかと思っています。様々な原因が考えられますが、メトロマニラでは日本よりも感染が広がりやすい環境にあるのではないかと思っています。一方で、日本に住む方で感染したことのある人はまだ数パーセントと言われています。今年に入ってから入国規制が緩和され、日本人出張者をだいぶ見かけるようになりました。日本人出張者の多くは感染歴がなく、ワクチンと自己免疫での生体防御が中心ですから、日本からの出張者がこちらで感染してしまう可能性は、フィリピンに住む日本人よりも高い可能性があると見ています。出張者がこちらで感染した場合、日本への帰国時期も変更を要する場合もあるため、より注意が必要です。

 

 フィリピン保健省、Covid-19 Tracker; https://doh.gov.ph/covid19tracker 

 フィリピンゲノムセンター; https://pgc.up.edu.ph/

 Outbreak.info、SARS-CoV-2 (hCoV-19) Mutation Reports, Lineage | Mutation Tracker; https://outbreak.info/situation-reports 

 フィリピン保健省、Updates on COVID-19 Vaccines; https://doh.gov.ph/vaccines 


鈴木秀一(Shuichi Jack Suzuki)さん
長崎大学熱帯医学・グローバルヘルス研究科
サンラザロ病院長崎大学共同研究拠点、拠点マネジャー

東京大学薬学部卒のちTulane University School of Public Health and Tropical Medicineへ留学、慶応病院、WHOなど経て現職、現在は長崎大学から派遣され、
マニラのSan Lazaro Hospital(サンラザロ病院)勤務。
専門領域:糖尿病、医療経済、創薬

 

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