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フィリピン身分証明書システム法案(Philippine Identification System Bill)成立
2018年08月08日更新

行政の手続きは、基本情報を確認したり、同じプロセスを繰り返したりと、必要以上に手間がかかりますよね。そんな中、今年の5月、上院下院の両院で、フィリピン身分証明書システム法案(Philippine Identification System Bill)が承認されました。その法案が、8月6日、ドゥテルテ大統領によって署名され、法律は成立。これによって、行政サービスの質が改善されることを期待します。

写真:期待されるIDだが、懸念される面も… 

 

国をあげての身分証明書システム

この法律の目的は、一つにまとまった集中型身分証明書のシステムを作ること。行政のサービスを受ける際に政府発行のIDがいくつか必要となるが、それに十分対応可能な身分証明書となります。行政のサービスとは:パスポート、運転免許証、銀行口座、犯罪歴へのアクセス、政府機関のサービス(Pag-IBIG(持家促進相互基金)、Philhelth(健康保険)、GSIS(公務員保険制度)、SSS(社会保障制度)など)。更に雇用、投票時などのIDとしての目的も果たします。PhilSysはまた、上記の取引について、個人ファイル、活動をIDにひとまとめにすることが出来ます。このIDシステムは、既存する身分証明書、Unified Multi-Purpose ID(UMID)とは異なります。UMIDは、先に言及した4つの政府機関を一つにまとめたIDカード。PhilSysの場合、すべての国民及びフィリピン在住外国人に申し込みが義務付けられていますが、UMIDは加入者のみが申し込めるIDです。UMIDは、2010年発足、予算管理省によるとフィリピン人で所有してるのは人口の20%だと言われています。

 

手続き

登録は無料で、登録に際し、性別、年齢などの人口統計学的データと、指紋などの生体認証データの両方を提供しなくてはなりません。具体的には、フルネーム、性別、生年月日、出生地、住所。また、虹彩、指紋もスキャンされ、顔画像も求められます。発行された個人番号は一生有効です。収集されたデータは、フィリピン統計局が情報通信技術省の協力を受け、管理されます。両者とも、共和国法第10173号・個人情報保護法2012をもとに、データ保護を確実に行います。

 

懸念されること

国家プライバシー委員会(National Privacy Commission)が管理するこの法律。個人データを個人の所有物に例え、その所有者の許可なく使用してはならないとしています。このシステムは、個人の過去の取引も記録するため、技術面の進歩によるデータ漏れやハッキングが懸念されつつあります。一方で、情報通信技術及び人権を専門とする弁護士、Jam Jacob氏によると、このシステムは、国家安全保障の面で、政府の厳重な監視を可能にするだろう、としています。そんな中、下院議員のSol Aragones氏は、フィリピン競争法施行規則(Implementing Rules and Regulations(IRR)による、“安全措置”があることを言及。(署名後30日間の待期期間)彼女は法案の作成者、スポンサーである、上院議員 Panfilo Lacson氏らと共に法案の作成を手掛けました。PhilSysの署名は、バンサモロ組織法(Bangsamoro Organic Law (BOL))の署名と同時に行われました。Waliと呼ばれる儀式上のリーダーによる政権をバンサモロ地方に形成することを目的とした法律です。

 

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