7月9日(木)にShangri-la Plazaのシネマにて日本映画祭「EIGA SAI The Japanese Film Festival 2015」が日比の友好月間に合わせて幕開けました。
(写真)Japan Foundationの代表者が日本映画祭の開催を記念してテープカット
日比の友好月間とは、1956年の日比賠償協定集結日を「日比友好の日」と決め、毎年7月25日にだけイベントが両国で行われていましたが、50回目である2006年からは、日比友好月間として月単位で両国の友好のために行事を開催するようになりました。
その一つである、日本映画祭はJapan Foundationと日本大使館主催で毎年行われています。
今年のテーマは「Tasteful Japan」。
このテーマに基づいて、「和食ドリーム」「洋菓子店コアンドル」「ラーメンより大切なもの~東池袋大勝軒 50年の秘密~」など、「食」を中心に上映されます。
オープニングムービーを飾ったのは「ぼくたちの家族」。
会場には石井裕也監督と永井拓郎プロデューサーも駆けつけ、会場のお客様から暖かく迎えられました。
(写真)フィリピンへ初訪問という石井監督のスピーチ
この映画は、早見和真著者の実話小説を原作にした映画で、若菜家の母(玲子)が重度の物忘れや、おかしな言動をすることから物語は始まります。その後玲子は、末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告され、今まで隠れてきた家族の問題などが徐々に明るみに出てしまう。それを機に家族全員がもう一度見つめ合い、再生していくヒューマンドラマです。
上映後には観客から監督に、疑問に思った部分など直接質問タイムが設けられました。
映画のネタバレにならない程度に、質問とそれに対する監督自身の答えをご紹介します。
(質問1)
なぜ家族に対して、I love youなど言わないのでしょうか。
(答え)
日本人はよくも悪くも、愛情表現や、肉体接触などが乏しい。
自己弁護ではないが、そういうところに日本人の奥ゆかしさの良さを感じてもらいたいです。
(質問2)
家族の問題を社会の縮図として表現したと、映画上映前に説明したが、映画において、どの問題が社会の問題と関連していると言えるのでしょうか。
(答え)
映画を見てそれぞれに感じ取ってもらいたいので、ここが問題だと断定をしたくはないのですが、ひとつ言うなら、次の世代に課題を先送りにしているところです。例えば借金の問題とかです。
(質問3)
この映画は実話をもとにしたとあるが、どこまでが実話なのでしょうか。
(答え)
原作小説が実話をもとにして作られているので、病名や、家族の状況というのは実話です。
しかし、この状況になったことがある人もない人も、どこか他人ごとにも思えない普遍的な危機感や家族の問題を感じてもらえるのではないかと思います。
(質問4)
祈りの場面があるが、宗教的な意味で祈っているのでしょうか。
(答え)
日本には宗教の影響が少ないので、祈りという意味がもしかしたら誤解を産むかもしれないですが、この映画を作り終わった時に、これは祈りの映画だと思いました。
それまで、そのようなことを思って作っていなかったのですが、キャラクターたちは何かを祈っているということを思いましたね。その祈りこそが家族へ愛情の見せ方そのものなのかもしれません。
(写真)映画祭において、行ったことのない日本について質問をする観客
(写真)観客の質問に答える石井監督
全く異なる文化を持つフィリピンと日本。
表面的なイメージだけでなく、映画を通して日本の本質を知って、お互いの国をわかり合い、今後ますます日比の友好関係を良いものに築いていくことを期待します。
こちらの映画祭はフィリピン国内5ヵ所で順次行われます。
全て無料で鑑賞できるので、予定が合えばぜひお近くの上映される映画館へ足を運んでみてくださいね。
詳しい日程についてはこちらへ。
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- 「ニックネーム」 California MAKIsan
- 「自己紹介」 フィリピン料理がほんま美味しすぎて
- つい食べ過ぎてまうねん~。
- こぶしパワーでフィリピン奮闘中。