JETROフィリピンは13日、財政インセンティブ審査委員会に関する情報を発表しました。初めて税制優遇措置が承認された、投資プロジェクトに関する情報です。
財政インセンティブ審査委員会(FIRB)、初めて税制優遇措置を承認
フィリピン財務省(DOF)は8月3日、財政インセンティブ審査委員会(FIRB)が設置後初めて、投資プロジェクトに対して税制優遇措置を承認したことを発表した。FIRBは、税制改革の第2弾(法人向け諸税の見直し)となるCREATE法(2021年4月11日発効、注)に基づいて設置された。同委員会は、大規模投資案件への優遇措置付与の可否を審査する権限を有している。
DOFによると、今回承認された投資プロジェクトは3件で、合計投資金額294億ペソ(約646億8,000万円、1ペソ=約2.2円)となる見込み。1件目は、イロイロ州における低価格住宅建設事業で、投資金額は14億ペソと推計されている。同プロジェクトに対して、4年間の法人所得税免税(ITH:インカム・タックス・ホリデー)と、資本設備や原材料の輸入関税の免税を優遇措置として提供する。
2件目は、パンパンガ州におけるセメント工場建設事業で、投資金額は31億ペソ。同プロジェクトに対して、2年間のITHに加え、5年間の各種費用の追加控除および輸入免税の優遇措置を提供する。3件目が、バタンガス州におけるセメント工場建設事業で、投資金額は249億ペソと推計されている。同プロジェクトについては、投資コストの高いセメントクリンカー製造設備を合わせて設置することを考慮し、6年間のITHに加え、5年間の各種費用の追加控除および輸入免税の優遇措置を提供する。
FIRBのメンバーである国家経済開発庁(NEDA)のカール・チュア長官は、セメント工場の建設が2件採択されたことについて、セメントの製造工程において新しい技術を導入し、セメントの製造コストを下げること、また国内でのセメント製造の競争力を高めることの重要性を指摘した。
(注)同法では、法人所得税の減税など景気浮揚を目的とした措置と、これまで投資誘致機関が提供してきた各種インセンティブの整理・合理化が盛り込まれている(同法の内容は添付の翻訳資料参照)。2021年6月21日、CREATE法における税制優遇措置の具体的な内容を規定する実施細則(IRR)が署名された。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)