2月28日(水)マカティのフィリピン日本人商工会議所でJBICとフィリピン日本人商工会議所共催のセミナーが行われました。
今回の海外投資アンケートの結果、フィリピンは「中期的(今後3年程度)有望事業展開先国・地域」において、8位にランクインしました。
セミナーでは、29回目となる「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査(2017年度海外直接投資アンケート)」の報告の他、「フィリピン化学業界概要」、そして「フィリピンの主要財閥」の3つのトピックについて、それぞれの専門家から説明がありました。
今回のメインである「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査(2017年度海外直接投資アンケート)」については、JBIC業務企画室審議役の大矢 伸さんからご説明をいただきました。
同調査において、「中期的有望事業展開先国・地域」ではフィリピンが8位にランクイン。有望理由を45社が回答した結果、「現地マーケットの今後の成長性」が1位に。ただし、マーケットの将来性に対する期待は引き続き高いものの、回答率は前回のアンケートから12.7ポイント低下し64.4%となりました。
2位の「安価な労働力」(42.2%)は上位10カ国の中ではミャンマー、ベトナムに次いで高い水準となっています。その他、「現地マーケットの現状規模」(20.0%)、「優秀な人材」(17.8%)そして「組み立てメーカーへの供給拠点として」(15.6%)などの理由も挙がりました。
また、今後の課題を41社が回答した結果、前回3位だった「治安・社会情勢が不安」が前回比で回答率15.3ポイント増の43.9%に。2017年5月以降のミンダナオ島におけるイスラム武装勢力と政府軍の衝突などを背景に、日本企業の懸念が増大した模様。また、第2位は「他社との厳しい競争」(36.6%)で、前回比10.4ポイント増と、2年連続で大きく上昇しています。その他、「管理職クラスの人材確保が困難」(29.3%)、「インフラが未整備」(26.8%)、「法制の運用が不透明」(24.4%)、「労働コストの上昇」(24.4%)などの課題も挙がっています。
「フィリピン化学業界概要」はJBICマニラ駐在員事務所 駐在員 松崎 隆志さんからご説明をいただきました。
フィリピンの化学製品の主な輸入先は、中国(20%)、日本(13%)、タイ(10%)など。2016年の化学製品の輸入総額は2015年の58億ドルから76億ドルへと増加しました。主要輸入品はプラスチック、その他の石油化学製品。
一方で、主な輸出先は日本(29%)、中国(15%)、インドネシア(7%)など。2012年の31億ドルを最大として2015年まで減少しましたが、2016年は微増。最大の輸出額は完成品を含むプラスチック製品(輸入した樹脂を加工して輸出している場合も含む)。輸出の約2割は、オレオケミカル関連製品を含む有機化学製品です。
フィリピンの石油化学の主な製品は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックや合成樹皮で、これらは包装材、建設資材、家電及びその他のプラスチックやプラスチック関連製品の原材料として使用されます。
最後のトピック「フィリピン主要財閥概要」はJBICマニラ駐在員事務所 シニアリサーチャーの田部 智子さんからご説明をいただきました。
主にスペイン系(アヤラ、ロペス、アボイティスなど)と華人系(コファンコ、ゴコンウェイ、シーなど)に分かれるフィリピン財閥の特徴の他、主財閥株価のGDPに対する割合や財閥企業の売上推移比較、財閥企業の売り上げ・当期純利益・資産などのグラフ、更にコファンコ(サン・ミゲル)、シー(SMグループ)、ゴコンウェイ(JGサミット)といった主要財閥の紹介もありました。
国際協力銀行 JBICホームページ:https://www.jbic.go.jp/ja/index.html
フィリピン日本人商工会議所ホームページ:http://www.jccipi.com.ph/