JETROフィリピンは4月15日、フィリピン財務省による新しい情報を発表しました。
フィリピン財務省、2兆5,000億円の新型コロナ対策予算を発表
フィリピン財務省(DOF)は新型コロナウイルス感染症の対策予算として、1兆1,700億ペソ(約2兆4,570億円、1ペソ=約2.1円)の予算を計上すると発表した。4月13日付でGMAニュースほか地元各紙が報じた。
DOFは対策予算の内訳として、1,800万人にのぼる国内の低所得世帯に対する2,050億ペソ規模の給付、農業・漁業従事者に対する無利子での28億ペソ規模の融資、失職した国内外の自国民に対する35億ペソ規模の給付、中小零細企業に対する10億ペソ規模の融資、フィリピン中央銀行(BSP)による国債3,000億ペソの買い取り、税やローンの支払猶予などを挙げた。
DOFのカルロス・ドミンゲス長官は、対策予算1兆1,700億ペソはフィリピンの国内総生産(GDP)の5~6%に相当するとし、不足する場合、政府はさらに追加予算を投入するとした。
また、BSPは3月24日、市中銀行から強制的に預金の一定割合を預かる預金準備率を現行の14.0%から12.0%に引き下げると発表。こうした金融緩和政策により、1,800億ペソの資金が市場に出回ることになり、対策予算とともに経済回復を後押しする。
アジア開発銀行、世界銀行から支援取り付け
DOFはそのほか、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行から新型コロナウイルス感染症対策のための金融支援を取り付けたとした。
ADBは4月13日、フィリピンを含む新型コロナウイルスの感染が拡大する加盟国・地域に対して、総額65億ドルの緊急融資を行うとした3月18日付の発表に続いて、さらに135億ドルの緊急融資を行い、融資額は総額200億ドルとなったと発表。うち20億ドルは、商取引やサプライチェーンの回復のため、民間企業に対する融資や保証に使われるとした。ADBは4月3日、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が与える世界全体の経済損失を最大4兆1,000億ドルと予測し、世界全体のGDPを最大4.8%押し下げるとの試算を発表している(2020年4月9日記事参照)。
世界銀行は4月9日、フィリピン政府の自然災害リスク対応能力向上や新型コロナウイルス対策のために5億ドルを追加融資すると発表。融資は、災害復旧や復興計画の実行、総合的なハザードリスク分析の普及、地震リスク低減や重要な政府官舎の耐震補強のための複数年投資計画の開発、緊急時の送金プログラムの実行に充てられるとした。
(坂田和仁)
(フィリピン)