JETROフィリピンは14日、フィリピンのエドテックについての情報を発表しました。
「エドテック」市場規模拡大の予想、新型コロナ感染拡大の影響も
フィリピンの「エドテック(EdTech:EducationとTechnologyを合わせた造語)」市場規模(2020年)が、102億~108億ペソ(約219億~232億円、1ペソ=約2.15円)と推計されることがわかった。また、同市場は2019~2025年の間に、年平均成長率が15~16%のスピードで拡大する見込みだ。2020年12月16日に発表されたジェトロ「フィリピン 教育(Edtech)産業調査(2020年12月)」において、ジェトロが入手した各種統計分析などにより算出した(注1)。
近年、デジタル技術を活用して教育に革新を起こす「エドテック」によって、教育の質の向上や校務の効率化が期待されている。さらに、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、フィリピンでも休校が進む中、オンライン学習サービスなどエドテックが一層、注目されている。以下、ジェトロの調査報告書を基に注目される点を取り上げる。
エドテック市場規模は年平均15〜16%で拡大と予想
フィリピン統計庁によると、2020年の人口は約1億で、今後も増加する見通し。24歳以下の割合が約40%と、人口全体における若者の割合が比較的高く、エドテックを含む教育関連分野の製品・サービスを利用する潜在的ユーザーの割合が高い。
さらに、エドテック普及の課題として、情報通信技術(ICT)インフラ環境の整備が不十分で、特に教育分野への導入の遅れ、学校運営者・教員のICTリテラシーの低さが指摘されてきたが、フィリピン予算管理省(DBM)は、2020年5月に公表した国家予算覚書第136号で、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、対面接触を避けた教育を提供できるよう環境整備を行う方針を示している。
日本からの市場参入可能性についても言及
フィリピン市場参入可能性については、上記から、遠隔でも受講・操作可能な電子教育書籍や教育動画、学習・授業管理システムなどへの需要が高まると推測できる。特に、フィリピンにおけるエドテック普及の課題にも対応できるとされる、(1)脆弱(ぜいじゃく)な通信環境に対応でき、導入コストが安価、(2)ICTリテラシーが低くても簡単に利用でき、楽しく学べる工夫など導入効果が明確、(3)導入に際してのデモンストレーションやカスタマーサポートが充実、などを踏まえた製品・サービスに市場参入の可能性があるとみられる(注2)。
(注1)算出方法の詳細は調査レポート30~34ページを参照のこと
(注2)詳細は報告書全文を参照、また過去実施した調査については2018年の調査報告は2018年12月26日付地域・分析レポートを参照いただきたい。
(石見彩)