JETROフィリピンは28日、アジア大洋州地域の経済見通しについて発表した。
ASEANなどアジアの景気回復にばらつき、IMF発表
IMFは10月21日、アジア大洋州地域の経済見通しについて、2020年第3四半期に入り、回復が始まっているとした一方、回復の速度が全ての国・地域で一様ではなく、それぞれ異なる速度で回復するとした。同発表は13日に発表した世界経済見通しの地域版に当たるアジア太平洋地域の経済見通しのレポートで発表された。
IMFは、同地域の2020年の成長率については、マイナス2.2%と予測した。インド、フィリピンといった新興国において、想定を上回る景気後退がみられるため、6月時点の見通しから0.6ポイント引き下げた。翌2021年は、0.3ポイント増の6.9%と予測した。
2020年の成長予測を国別でみると、第1四半期のロックダウンを経て、早期の新型コロナウイルス感染拡大の抑え込みに成功した中国は、力強い回復をみせているため、6月時点の見通しから0.9ポイント引き上げ、1.9%とした。一方、インド、フィリピンといった感染拡大が収まらず、ロックダウン(都市封鎖)が長期化している国については、第2四半期の景気落ち込みを受け、引き続きマイナス成長と予測している(添付資料表参照)。
なお、同レポートでは、インドやフィリピンなどにおいて、感染拡大が収まる前に行動制限を緩和したことで、感染拡大が継続している、と指摘。両国が経済活動の早期再開を意思決定した要因として、セーフティネットへのアクセスが限られている非正規労働者の存在を挙げ、ロックダウンによる経済的コストが、同措置により得られる健康上のメリットよりも高いと判断された、としている。
早期の感染対策が経済的コストを低減
IMFは、各国の新型コロナウイルス封じ込め対策を分析した結果、経済的コストを軽減しつつ、感染拡大を抑え安定化させる鍵として、早期の段階でロックダウンなどの封じ込め政策を実施すること、感染拡大が抑制された後、検査や接触確認・追跡システムをきちんと整備した上で、封鎖措置を緩和すること、を挙げた。また、適切な財政支援を行うことも、経済の回復を支えるために重要とした。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大は、低所得労働者、女性、若者に最も大きな影響を与えており、社会の不平等を増大させている、と警告。各国の政策は、こうした悪影響を緩和し、経済活動とウイルスの封じ込めを両立することを目標とすべきとした。
(三木貴博)
(ASEAN、中国、ベトナム、フィリピン、インド、タイ、シンガポール、マレーシア)
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