JETROフィリピンは14日、フィリピン国内の製造業の動向に関する情報を発表しました。
英国の調査会社IHSマークイットは7月1日、フィリピンの6月の製造業購買担当者指数(PMI、注)を50.8と発表した。5月の49.9より改善し、3カ月ぶりに景気拡大の基準となる50.0を上回った。6月には生産高、新規受注、雇用の減少緩和とともに、フィリピンの製造業製品に対する海外からの需要が高まり、輸出が急拡大したとHISマークイットは分析する。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大を防止するために、フィリピンでは強力な移動・経済制限措置が続いており、景気回復には力強さを欠いている。特に、サプライヤーからの原材料調達に関しては、港湾が混雑していることにより、調達までに時間がかかるようになっている。今後の数カ月間は製品需要の拡大が見込まれることもあり、製造業者は、仕掛け品の在庫を増やすことで、調達に係る時間の長期化に対応している。
加えて、輸送コストや原材料の価格が上昇しており、製品を作る際の費用増加につながっている。製造業者は利益を確保するために、費用増加に対して製品販売価格を上げ、コストの転嫁を図っている。その結果、製品価格の上昇率は直近の2年半の中で最も高まった。
調査では、将来の景気見通しについて、一部の製造業者は新型コロナウイルス対策による移動・経済制限措置の長期化の影響を懸念していると示した。一方、さらなる需要の拡大によって、今後の12カ月間は高い水準の生産を見込んでいるとし、フィリピンの製造業者は、全体的には楽観的な景況感を有しているとした。
(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)
(フィリピン)
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