JETROフィリピンは10日、戦略的投資優先計画(SIPP)に関する情報を公表しました。
戦略的投資優先計画(SIPP)が成立、投資優遇分野が明らかに
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月24日、CREATE(法人のための復興と税制優遇の見直し)法にて税制上の優遇措置を提供する分野を定めた「戦略的投資優先計画(SIPP)」を承認する「通達第61号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(Memorandum Order No. 61)に署名した。通達は官報掲載日である5月26日から15日後の、6月10日に発効した。
フィリピンでは2021年4月、法人所得税の減税など、景気浮揚を目的とした措置と、これまで投資誘致機関が提供してきた各種インセンティブの整理・合理化を主な目的としたCREATE法が発効した(2022年2月18日付地域・分析レポート参照)。
同法にて、これまで各投資誘致機関が独自基準で優遇措置を提供してきたインセンティブの体系を改め、SIPPにてフィリピンとして統一的な基準で投資優遇措置を付与していくこととなった。SIPPが定める投資優遇分野は以下のとおり。
(1)ティア1:2020年度投資優先計画(IPP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて投資優先分野と指定されている活動。ただし、今回の通達第61号でティア2もしくはティア3に該当する場合を除く。
(2)ティア2:フィリピン経済の強靭(きょうじん)性、競争性を高める活動。具体的には以下の分野を含む。
1.グリーン・エコシステム〔電気自動車(EV)組立、EVに関する部品やシステムの製造、施設の設置やEV関連のインフラ運営、エネルギー効率に優れた船舶製造、スマートグリッドや再生可能エネルギーに資する電子機器や電子回路の製造など〕
2.ヘルスケア関連
3.防衛関連
4.フィリピンでのバリューチェーンの欠落をカバーする活動〔鉄鋼、テキスタイル、化学品、グリーンメタル加工(銅、コバルト、ニッケル)、原油精製など〕
5.食料安全関連(食料安全保障や有機農業に資する製品・サービスなど)
(3)ティア3:経済の変革を加速させる上で重要な活動。具体的には以下の分野を含む。
1.研究開発(R&D)、第4次産業革命に関連する先進的なデジタル技術(ロボット、人工知能など)を導入した活動
2.技術的に高度な製造業、イノベーティブな製品の生産・サービスの提供
3.イノベーション創出を促進する施設の設置(R&D施設、サイエンスパーク、インキュベーション施設など)
ラモン・ロペス貿易産業相は5月30日、SIPPについて「フィリピンの産業転換を強力に促進し、より多様で高度な製品やサービスを創出する推進力となる」とコメントした(「ビジネス・ワールド」紙2022年5月30日付)。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)
(フィリピン)