『新規駐在員のビザ』
今月の事例
日本からフィリピン子会社や支店の駐在員として就業するためには、ビザと労働許可を取得することが原則として必要となり、いずれかが欠けていてもいけません。そこで、本稿ではフィリピン子会社の社長として駐在する場合のビザおよび労働許可に関して説明致します。
①フィリピン子会社の取締役会において社長に選任(+子会社との間で雇用契約を締結)
②フィリピンに入国
③外国人労働許可(Alien Employment Permit; AEP)または除外証明書(Certificate of Exclusion)の申請および取得
④9(g)ビザおよび外国人登録証(Alien Certificate of Registration; ACR I-Card)の申請および取得
<労働雇用省(DOLE)関係の手続>
外国人がフィリピンで就労するためには、原則として外国人労働許可(AEP)を取得することが必要です。もっとも、フィリピン法人の社長や財務役等として赴任する場合や、親会社からの出向で、特定の職位に着任する場合等には、AEPではなく、除外証明書(Certificate of Exclusion)を取得することで、AEPの取得に換えることが可能です。除外証明書の取得申請は、申請者がフィリピン子会社との間で労働契約を締結した日から10日以内にDOLE地方事務所に対して行われることが必要です。いずれの申請もフィリピンに入国してから申請をすることとなります。なお、AEPの取得申請を行う場合は、除外証明書の申請の場合と比べて煩雑な手続が必要であり、例えば、新聞紙上に当該職種につき募集を行ったことを証明することなどが追加で求められることになります。これは、外国人の雇用はフィリピン人ではできない業務を行う場合に限り許可されるべきとの立場に基づくためです。
<移民局(Bureau of Immigration; BI)関係の手続>
日本人がフィリピンに入国する場合、単に観光目的で入国する場合にはビザを取得する必要はありません。この場合、ビザなしで30日間フィリピンに滞在することが可能であり、申請すればその期間を延長することもできます。もっとも、駐在員としてフィリピンに入国する場合、一般的には日本を出国する前に9(a)ビザを取得してフィリピンに入国し、必要書類が整った後にBIに対して就労ビザ(9(g)ビザ)の申請を行うことになります。なお、9(g)ビザの申請のためには上述のDOLEの発行するAEPまたは除外証明書の添付が必要となりますので、まずはそれを取得してから9(g)ビザの申請を行うことになります。 なお、9(g)ビザの発行前に仕事を開始したい場合は、BIに対して仮労働許可証(Provisional Work Permit; PWP)の発行申請を行い、PWPの発行を受けることにより、就労が可能となります。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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