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少数株主による取締役の選任【フィリピン法律あらかると第百十八回】

『少数株主による取締役の選任』


今月の事例

Q.当社はフィリピン法人の40%株主ですが、5名の取締役のうち2名を我々がノミネートした候補者から選任したいのですが、どうすればよいですか?
 
 

フィリピン法人でも日本と同様に株主総会で取締役を選任します。本稿ではフィリピン側が60%の株式を有し、日本側が40%の株式を有している合弁会社において、少数株主である日本側が5名の取締役のうち、自らが候補者とした2名を選任するにはどうしたらよいかについて検討します。フィリピン側のパートナーと円満な場合は全く問題ありませんが、そうでない場合もあり得ますので、そのような場合に備えて検討を行っておくことは有効です。

株主は直接株主総会に参加するか、または委任状を作成することにより、株主総会で議決権を行使することができますので、いずれの方式によるにせよ、まずは議決権行使をする必要があります。なお、フィリピン法人において、取締役となるためには法人の株式を保有している必要があります。仮に新たな取締役候補者を立てる必要がある場合は、付属定款に記載がある場合はその期日まで、記載が無い場合は株主総会の日までにその者が株主名簿に株主として記載されている必要があります。株主の変更のためにはBIRからのCAR(譲渡承認証書)の取得を行い、秘書役に対して株主名簿の記載の変更を求めることが必要であり、時間がかかりますのでご留意ください。

次に株主総会における取締役の選任手続きについて説明させていただきます。株主総会では議長が議場において取締役候補者のノミネートを募り、出席株主は自由に取締役候補者をノミネートすることができ、ノミネートされた候補者につき投票を行い、投票数の多い者から取締役に選任されることになります。

ここで株主総会における取締役選任のための議決権行使の方法が問題となりますが、改正会社法第23条は3通りの議決権行使の方法を定めており、(1)取締役の 定員まで各候補者に同数の議決権を行使すること、(2)一名の取締役候補にすべての議決権を行使すること、(3)選択した取締役候補に同数の議決権を行使すること(いわゆる累積投票)、を認めています。具体例を挙げますと、発行済み株式が1000株で取締役の定員が5名である場合、40%株主は400×5=2000個の議決権を有します。そして、自らが推薦した2名の候補者に対してそれぞれ1000個の議決権を行使することが可能です。この会社では全部の議決権の個数は1000×5=5000個であり、1000個の賛成票が入っている場合は必ず上位5名に入りますので、少数株主の推薦した2名の候補者は60%株主の議決権行使の方法にかかわらず、取締役に選任されることになります。

 
 

結論

A.累積投票により、自らノミネートした候補者に議決権行使を行うことで希望する候補者の2名を選任することが可能です。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


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