
『フィリピンの選挙』
今月の事例
今年5月12日にフィリピンで選挙が行われたことは皆さんもご存じだと思いますが、今回はフィリピンではどのようにして選挙が行われているかについてご説明させて頂きます。
<フィリピンの国政選挙>
フィリピンは大統領制を採用していますので、国政レベルの選挙としては、大統領選挙と国会議員選挙があります。
大統領選挙は大統領と副大統領をそれぞれ選出する選挙であり、各候補に1票ずつ投票します。そのため、所属政党の異なる大統領と副大統領が選出されることがあり得ます。いずれも任期が6年であり、再選はできません。 国会議員選挙は、フィリピンの国会は上院(Senate)と下院(House of Representatives)があるため、それぞれに投票します。上院議員は24名おり、日本の参議院と同様に任期は6年ですが、3年ごとに半数の12名が全国区で改選されます(連続2期まで)。下院議員は現在の定員が317名で任期が3年であり(連続3期まで)、その選出方法は日本の衆議院と類似したシステムを取っており、定員の8割を小選挙区制で、残りの2割を日本の比例代表制に似たパーティーリスト制で選出します。この パーティーリストとは小さな政治団体のリストであり、全国区で獲得投票数の多かったパーティーから議席を割り振ることとされていますが、各パーティーあたり最大でも3人しか当選できないこととなっています。
<フィリピンの地方選挙>
フィリピンの地方公共団体は、大きなものから州(Province)、市(City)、町村(Municipality)、バランガイ(Barangay)となり、選挙ではそれぞれの首長と副首長(バランガイを除く)、議会の議員を選出します。
まず、州の選挙ですが、フィリピンには82の州があり、選挙の際は州知事と副知事、州議会の議員を選出します。次に市の選挙ですが、フィリピンには149の市があり、選挙の際は市長と副市長、市議会の議員を選出します。最後に町村(Municipality)の選挙ですが、フィリピンには1493の町村があり、選挙の際は町(村)長と副町(村)長、町(村)議会の議員を選出します。いずれも任期は3年となっています。これら国会議員、州、市、町村の選挙は3年ごとの5月第2月曜日に行われることとされており、6年ごとには大統領選挙も同時に行われます(次回の選挙は大統領選挙も含めて2028年5月8日に行われます)。
<バランガイの選挙>
最後に、フィリピンの最小の行政区画であるバランガイでも役員選出の選挙が行われますが、上記国会議員や州、市町村の選挙とは別に単独で行われ、次回は本年12月1日に行われます。バランガイ選挙では、バランガイ長、バランガイ議会(Sangguniang Barangay)の議員、青年バランガイ議会(Sangguniang Kabataan)の議長及び議員の選出が行われます。バランガイ役員の任期は5年となっています。 なお、フィリピンでは投票するためには事前に有権者登録を行う必要があり、実際の投票率も80%を超え、かなりの高投票率となっています。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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