
『フィリピンの不動産登記』
今月の事例
フィリピンにおける不動産登記につき、今回は説明させて頂きます。日本では法務局で誰でも不動産登記を検索することができ、また、物件の売買などで権利関係に変動がある場合は、法務局に必要な書類を提出することで登記を変更することになりますが、フィリピンではどうなのでしょうか。フィリピンにおいて不動産の権利関係についての手続きを行う場所はRegistry of Deeds(証書登録所。定まった和訳はありません。)であり、マニラ首都圏では各市にオフィスがあります。ここでは、不動産の所有権や抵当権等の登録、権利証の発行等が行われて
います。
コンドミニアムに関する権利証は(CondominiumCertificate of Title; CCT)と呼ばれており、このCCTには所有者の名前、対象となる物件に関する記載(広さなど)がなされるほか、不動産に何らかの制限が加えられている場合はその内容についても記載されます。たとえば、コンドミニアム全体に対して加えられている制限や当該コンドミニアムの部屋について付せられた担保権など
が記載されることになります。
不動産を購入するに際しては、売主が真の所有者であることや不動産に付せられた担保権などを確認する必要がありますが、日本とは異なり、買主などの第三者が登記情報を自由に取得することはできないため、権利者の協力なくして権利関係を調査することはできません。そのため、今回のように中古のコンドミニアムの部屋を購入しようとする場合は、売主に対してCCTの提出を求める必要があります。なお、現在は証書登録所に行かずとも、オンライン(eSerbisyo)でCCTを確認することは可能ですが、証書番号を入力する必要がありますので、やはり権利者の協力が必要となります。
売主の協力を受けて売主が所有者であることの確認が取れましたら、売買契約を締結し、代金の支払いがなされた後、証書登録所において所有権移転手続を行うことになります。この所有権移転手続を行うに際しては、CCTの他、必要な税金(キャピタルゲイン税及び印紙税)が支払われていることについてのBIRからの証明書(CAR)等の提出が必要となります。このうち、キャピタルゲイン税については売主が支払うことが必要となるため、買主は売主が必ず税金を支払うよう、手当てをする必要があります(たとえば、売買代金の一部は税金の支払いがなされた後に支払うことにするなど)。CCTやCARに加え、それら以外の必要書類を準備して証書登録所に提出して申請を行い数ヶ月が経過しますと、新たなCCTが発行されます。なお、CCTは将来的にその不動産を売却する際には必ず必要となりますので、大事に保管ください(紛失した場合は、再発行をしなければ新たな権利移転手続ができません)。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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