モチベーションエンジニアリングによって
組織と個人に変革の機会を提供

Link and Motivation Philippines Inc.
代表取締役社長
今井貴之 氏
2000年に創業以来、「モチベーション」に特化した組織・人事コンサルティングを展開するリンクアンドモチベーション。「モチベーションエンジニアリングによって組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」を理念に掲げる同社は、2025年1月、フィリピンを含む東南アジア4カ国に海外拠点を設立した。企業の規模を問わず、フィリピンで日系企業が直面する課題、そして現地で「選ばれ続ける組織づくり」とは? フィリピンで同社を率いる今井氏にお話を伺った。
編集部
貴社の事業内容と強みを教えてください。
今井氏
リンクアンドモチベーションは、「採用」「育成」「制度」「風土」といった組織・人事領域をワンストップで支援する「コンサルティングファーム」です。その中核を成すのが、従業員エンゲージメントに基づく独自の組織診断で、組織の状態を可視化し、強みを伸ばすと同時に、課題の克服を伴走支援するサービスを提供しています。
創業以来25年にわたり、モチベーションおよびエンゲージメント領域に特化して取り組んできた当社は、国内市場では、9年連続でナンバーワンの座を維持、海外においても、当初計画を遥かに上回る成長を遂げるなど、確かな実績を築いてきました。
リンクアンドモチベーションの最大の強みは、企業理念として掲げる「モチベーションエンジニアリング」にあります。これは、心理学、行動経済学、経営学、言語学といった多様な学術的知見を融合させた、他に類を見ない、診断・変革技術です。この技術により複雑な課題を抱える企業の優先課題を特定し、解決に向けた支援を可能にしています。
単なる現状の分析にとどまらず、実際の「変革」までを見据えた技術力。それこそが、私たちが組織人事の領域で優位性を保ち続けている理由です。
編集部
フィリピン進出の背景と意義を教えてください。
今井氏
リンクアンドモチベーションの海外展開は、2025年1月に本格始動しました。フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム(ホーチミン市)の4拠点において、同時に法人を設立。今年からは、インドネシアおよびベトナム・ハノイへの進出も果たしています。
フィリピン進出のきっかけは、現地に進出している日系企業からの「グローバルで勝てる組織創りを支援してほしい」という強い要望でした。 日本からフィリピン法人を支援する中で、現地と日本側の認識がすれ違う場面が見受けられたことや、グローバル市場において日系企業の存在感が徐々に希薄になっているという課題も見えてきていたため、私たちは「選ばれる組織、選ばれ続ける組織」づくりを得意とする企業として、こうした状況に対し十分に貢献できると考えました。
編集部
日系企業が直面する主な課題とは?
今井氏
フィリピンに赴任してから1年が経ちますが、非常に印象的なのは、経営課題が業界によって大きく異なっていることです。食品、日用品、IT、BPO、建設など、成長が目覚ましい業界では会社が目指す成長に組織や人材の成長が追い付かないという悩みを伺う一方で、成熟産業では事業環境の変化に対応できる組織・人材開発が進んでいないという状況もお伺いしており、各社のステージが異なっていることを実感しています。
フィリピンでビジネスを展開されている日系企業からは、様々なご相談をいただきますが、その多くは大きく三つの課題に集約されます。
まず一つ目は、経営と現場の認識のズレです。現場の主体性に期待し、権限移譲を進めていきたい経営層と、細やかな指導を受けながら指示通りに業務を進めることを前提とする現場の認識の違いによって、多くの組織でモチベーションの低下が発生しています。
次に挙げられるのが、従業員の権利主張への対応です。労働者の権利保護が手厚いフィリピンでは、一度会社への不信が生まれると様々な形での権利主張が生まれるため、現場の期待を理解しながら適切に期待を調整し、エンゲージメントを育むことが必要になります。
最後が、人材の定着ならびに組織の活性化です。フィリピンでは20代から30代での転職が活発な一方、長期勤続者は降格などの対応を取りづらく、新陳代謝が起きづらい構造になっているため、ぬるま湯に浸かってしまいパフォーマンスが上がらない状況も発生しています。ジョブホッピングが一般的なため、離職防止に関するお悩みも多い一方、今いる人員のパフォーマンスをいかに高めていくのか、ということも課題としてよく伺います。
これらの問題は、国や文化の違いだけではなく、組織が抱える宿命的な問題だと私たちは考えています。
こうした課題に向き合う際、私たちはまず課題を経営課題と現場課題に正しく整理することが重要だとお伝えしています。経営の役割は管理職や従業員との信頼関係を構築すること、管理職の役割は経営と現場を結節すること、現場の役割は自立意識を持って職務を遂行することと定義していますが、役割認識がすり合っていない組織では認識のズレからエンゲージメントの低下が発生します。
エンゲージメントを高め、強い組織を創るためには、自らの役割を理解し、全うする姿勢と、異なる立場の役割を理解しながら協働することが必要になりますが、価値観が異なるフィリピンではこの共通認識を生み出す難易度が高く、非常にやりがいを感じています。
編集部
赴任されてから個人的に感じられたフィリピンの印象についてお聞かせください。
今井氏
私は、フィリピンに対して非常に好印象を抱いています。特に印象的なのは「人」です。穏やかで明るく、常に前向きなエネルギーに満ちており、職場でも自然と歌声が聞こえるような雰囲気があります。研修中に突然歌い出すこともあるほどで、その明るさと日々刺激を受けています。私自身もポジティブな思考を大切にしているため、フィリピンの明朗で温かい国民性にいつもパワーをいただいています。
ビジネス環境においても同様で、人口増や消費欲旺盛な文化に支えられたGDPの堅調な成長など、大きな可能性を秘めた魅力的な国だと感じています。ポジティブマインドを大切にしているフィリピン人の皆さんと私たちが扱う「モチベーション」というテーマの親和性は高いと感じており、私たちの技術を提供することで、フィリピンのさらなる発展に貢献できると確信しています。
編集部
組織変革への考え方と、フィリピンにおけるミッションは?
今井氏
私たちの理念は、「組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現すること」。そのために、組織の問題を解決し続けたいと考えています。人や組織には本来、大きな可能性があると信じています。しかし、本当に人や組織が変われるかどうかは、また別の問題だとも捉えています。
私たちは人や組織のモチベーションを高める存在であると同時に、「人と組織は簡単には変わらない」という現実も直視しています。人には現状維持を好むバイアスがあり、大多数の人が変化を避ける傾向にあるということも、企業様には率直にお伝えしています。その上で、「組織を変えたい」「人材を成長させたい」と願う方々に対して、「どうすれば人と組織は変えることができるのか」ということを技術をベースにお伝えし、その想いに伴走しながら全力で応えることを使命としています。
人間関係や組織へのエンゲージメントは、人が幸せに過ごし、豊かに生きていくための根源的な土台です。職場の人間関係がうまくいかなくなるだけで、大きなストレスになり、普段の暮らしにも影響を与えますが、月曜日が待ち遠しい、仲間に会いたいと思えるような職場であれば、人はもっと前向きに、幸せに働けるのではないかと考えています。私たちは、そんな組織を一つでも多く創出していきたいという想いでサービスを提供しています。
非常に大きなポテンシャルを秘めているフィリピンの組織や人の力を最大化し、より一層の発展に貢献できるよう、弊社の技術を届けてまいります。
【プロフィール】
1993年生まれ。早稲田大学卒業後、2018年リンクアンドモチベーション入社。大手企業向けコンサルティング業務を経て、中堅・ベンチャー企業向け部門でのコンサルタント業務に従事。その間地域創生推進室を兼務し、地方自治体向け支援事業を立ち上げ。2025年1月に最年少で海外法人代表に着任し、現職。
【趣味】
スポーツが好きです。小学校から野球を続けていたこともあり、今でもランニングやウォーキングの時間を大切にしています。(ゴルフも修行中です。笑)また、美味しいお店を探すことも好きでGoogle Mapが行きたいお店ばかりになっています…!
【座右の銘】
「できるまで」。実現したいと決めたことは、できるまでやり切ることを大切にしています。





























