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フィリピン工場閉鎖の場合の従業員の解雇について【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第十七回】

『工場閉鎖の場合の従業員の解雇』

今月の事例

Q.クラークとバタンガスに製造工場があるのですが、このたびクラークの工場を閉鎖し、バタンガスの工場を拡張して生産効率を高めようと計画しています。その際にクラ ークの工場の従業員を全員解雇することはできますか? 同様の理由で、バタンガスに第1工場と第2工場があるうち第2工場を閉鎖して、第1 工場を拡張する場合に第1工場のために新たな従業員を雇用し、第2工場の従業員を解雇する場合はどうですか?

 

整理解雇が許される場合

前回の繰り返しになりますが、フィリピンの労働法298条(旧 283条)は整理解雇が以下の場合には許されると規定しています。

① 労働省力装置の導入

② 重複人員の発生(Redundancy)

③ 損失を防止するための人員整理(Retrenchment)

④ 組織または事業の解散または停止

 

工場の閉鎖に伴う解雇

会社が工場を閉鎖する場合には、整理解雇が認められる場合の④組織または事業の解散または停止に該当するかどうかをまずは検討することになります。かつては④の事業の停止に 該当するとして従業員を解雇するためには、会社が損失を抱えており、更なる損失の発生を防止するためという理由があることが必要と判断されていたこともありましたが、現在では会社が損失を抱えている場合ではなくとも工場を閉鎖する際にその工場の従業員を解雇することは原則的に認められます。ここで、「原則的」と言うのは解雇が認められない場合もあるということです。全ての整理解雇の場合にいえますが、雇用主には解雇を誠実に(faithfully)行わなければならないという義務 があります。ですから、例えば、工場内で組合結成の動きがあるので、それを防ぐ為に工場を閉鎖して従業員を解雇するというようなことは認められません。  第1の設例では、生産効率を高める為に工場を閉鎖するということですし、クラークで働く従業員がバタンガスに通勤することは困難ですので、解雇については誠実な理由があると認定されると考えられます。よって、後は雇用主が法律に従って手続を踏 むのであれば、解雇は認められることになります。

 

結論

A.工場の閉鎖に伴う解雇は雇用主に 誠実な理由があり、法律に定める方式に従って行われるのであれば有効です。第1のケースではこれが認められやすいと思われますが、第2のケースでは従来の従業員が新工場でも働くことができると思われるため、解雇によほど誠実な理由があることを証明できない限り、解雇は難しいものと思われます。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


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フィリピン法律あらかると 前回のコラム

前回からはいろいろな事例に基づき、従業員を解雇することができるのかどうかについてお話させていただいております(前回のフィリピンあらかると に掲載されていますので、見逃された方は是非ご覧ください)。今回もまた別の事例の場合についてお話しいたします。

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