ここだけのはなしは、いけませんよ!
今回もトレードシークレットについて話したいと思います。トレードシークレットとは、たとえば、会社の従業員が利益を得るために、いま働いている会社の新製品の設計情報をこっそり漏らしてしまうことなど、転職が多く現地人同士の情報交換が頻繁な東南アジアでは良く起こっています。
しかし、会社が元社員の動向を制限するというのは難しいですよね。実際に、元現地授業員が転職先で何をしているのかを、把握することすら無理だと思います。そのため、日系企業の経営陣が、会社の秘密の情報の流出を見つけるのは、事案が相当ひどいことになった場合が多いようです。つまり、表面化しないとわからないのですが、残念ながら、その時はもう手遅れというパターンです。退職前に同業に転職しない等の誓約書を書かせても、抑止策にはなり得ません。
実際のところ、日本の従業員でも会社の秘密情報を、「ここだけのはなし」として、競合他社などへ話をしてしまっている例は実際ありますよね。下町ロケットの中でも、ナカシマ工業の三田法務部長と帝国重工の財前部長が、「ここだけのはなし」ということで、ナカシマ工業の佃製作所に対する法廷闘争計画を打ち明けます。二人は、同じ大学の経済学部のゼミに所属していた間柄というのを、財前部長は知人から聞き早速飲みに誘います。その後、財前部長は、佃製作所の特許がナカシマ工業の手に落ちる前に手を打とうと決めるわけです。
現在、日本の企業では、かつての欧米企業からのトレードシークレット問題の反省や株式市場の透明性を上げ企業価値を向上するため、「コンプライアンス」という考え方が主流になりつつあります。最近は、競合他社と会うことは禁じられているか、事前に会社の了承が必要になる例が多いようです。
一方で、「コンプライアンス」という考え方になじみがない東南アジアでは、大事な商談の合間や入札の待合室でさえも、自社の現地従業員が競合他社の現地従業員と親しげに話をする光景がままあるそうです。現地語ですから、日本人にはよくわからないのですが、「一体、なにを話しているんだろう?」と不安になるそうです。ですから、会社の秘密の情報の流出は、東南アジアでは普通に起こり得るのです。
次回は、過去の日本企業の勘違いを例にもう少しトレードシークレットについてお話しします。
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