『会社における個人情報の取り扱いについて』
今月の事例
まず、個人情報の取得に際しては、その個人情報の取得目的、利用方法等を明確に示した上で個人情報の提供者から事前の同意を得なければならず、個人情報の提供者は事後でその同意を撤回することも可能です。
また、データプライバシー法の施行規則は、個人情報を取り扱う法人等に対して、個人情報の保護のために、組織的、物理的及び技術的な対策を行うことを求めています。
1. 組織的な対策
組織的な対策としてデータプライバシーとセキュリティーに関する法令等の遵守について責任を負う、情報保護責任者(Data Protection Officer; DPO)を置くことを義務づけています。また、社内に個人情報の処理に関する物理的および技術的なセキュリティー措置に関する規則を制定し、個人情報を取り扱う場合には、その情報取り扱いのシステムにつき詳述し、これを扱う者の義務や責任等を明確にする文書を作成すること等が求められます。また、ただこれらの規則等を制定すれば足りるというものではなく、適宜その内容をレビューすることも求められます。
2. 物理的な対策
物理的な個人情報保護の対策としては、以下の方策等を行うことを求めています。
(1) 就業場のモニタリングを行い、個人情報へのアクセスを制限する方策の制定
(2) 情報取扱者のプライバシーを確保する就業場のデザイン
(3)情報取扱者の義務、責任、スケジュールを規定し、情報取扱者のみが個人情報を取り扱う場所に入場できるようにすること
(4) 電子メディアの移転、除去、処分または再利用に関する規則の制定
(5) 個人情報に関するファイルや装置の破損を防止する方策の制定
3. 技術的な対策
技術的な個人情報保護の対策として、以下を行うことを求めています。
(1) 使用するコンピュータネットワークの外部からの攻撃等に対する防御策の策定
(2) 個人情報取り扱いシステム及びサービスの機密性、有用性を維持する能力の確保に関する対策
(3) 防御対策の違反やシステムの脆弱性等を確認するための定期的なモニタリング
(4) 事故発生時にタイムリーに個人情報を回復する機能の保持
(5) 個人情報の保管や転送時の暗号化
なお、法人の規模や取り扱う個人情報により法の求める全ての方策を行うことは無理があることもあるため、データプライバシー法の主管官庁である国家プライバシー委員会(NPC)は個別に求められる方策のレベルが異なる余地があることを認めています。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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