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ビジネス烈伝 アジア・大洋州三井物産マニラ支店・支店長 嶋田社長

アジア諸国の中でも、ポテンシャル高いフィリピンの魅力を探して挑戦していきたい。

 

フィリピン日本人商工会議所・会頭
アジア・大洋州三井物産マニラ支店・支店長
嶋田 慎一郎氏

 

 

 

パンデミックの最中にアジア・大洋州三井物産マニラ支店支店長として来比、この4月からはフィリピン日本人商工会議所の会頭を務める嶋田慎一郎氏に、フィリピンの印象とポテンシャル、現在、これからの活動などについてお聞きしました。

 

 

編集部

 

フィリピンの印象をお聞かせください。

 

嶋田氏

 

私がフィリピンに赴任したのは、まさにコロナが蔓延し始めた真っ只中で、世界的にコロナの影響がどんなものかわかっていなかった時期です。最初の仕事は、病院探しでした。来比数日後に業務部長が陽性になってしまい、彼の入院先をまだフィリピンの右も左もわからない中で探し、対応マニュアルを策定しました。業務の引継ぎも、社員との対話もすべてオンラインで、会うこともできない、お客様にも会えない。何のためにフィリピンにいるのか? どなたも同じ状況だったと思いますが、これは大きなフラストレーションでした。唯一、フィリピンに来る前に滞在したシンガポールには1人前単位のデリバリーが少なかったのですが、フィリピンではどこでも対応しています。これはうれしかったですね(笑)。

 

 

編集部

 

フィリピンのポテンシャルをどうみていますか?

 

嶋田氏

 

フィリピンは人口規模を含め国としての基礎体力もあるし、タレントも揃っています。優秀なエンジニアもいますし、英語を話す国民が多いのは大きなアドバンテージです。行政の手続き簡素化や、透明性が進めば可能性は大きいと思っています。その意味でも「オーソドックスな閣僚の布陣」だといわれる新政権には大いに期待しています。 フィリピンに来て感じたのは、やはり財閥が大きな勢力をもっていることです。なかなか変わるのは難しいかもしれませんが、非財閥系の人がビジネスを成功できる土壌ができればさらに大きく伸びていくのではないでしょうか。

フィリピンは、若さ、明るさなど、日本にはない優れたところがたくさんあります。一方で日本にはあるがフィリピンにはないものもたくさんある。この様な両国がお互いに確りと協力し合えば非常に良いものができるような気がしています。たぶんそれは産業だけではなく、文化などいろんな側面で可能性があるのではないでしょうか。人材交流ももっと進めばいいと考えています。

私のお会いしたフィリピンの財閥系の皆さんは親日家で、日本のどこに行った、何を食べた、もうクリスマスには日本に行く予約をしたなどという話をしてくれます。インドネシアでも親日家の方が多かったですが、これは先人の方々が積み重ねてきた功績だと感じます。それを損なわない、それ以上の貢献をしていくのも我々にとって重要なことだと思いますね。

一方で、日本の皆さんにも、もっとフィリピンに来て欲しいと思いますね。先に林芳正外務大臣が総理特使として大統領就任式に出席のためにフィリピンを訪問中にお話する機会がありました。その際フィリピンにもっと日本人が来るためにはどうすればいいかとの話になりました。林大臣は農林水産大臣を務めたこともあり、日本中央競馬会(JRA)のイメージ戦略のようにしてはどうかという話になりました。JRAがティンクルレースで競馬のイメージを変え若い女性のファンを増やしたのと同様に、フィリピンのイメージを変えてみたらどうかと。フィリピンにはまだ日本人が知らない魅力がたくさんあります。その素材を探して挑戦したいですね。

 

 

編集部

 

日本人商工会議所としての業務を教えてください。

 

嶋田氏

 

フィリピン日本人商工会議所(JCCIPI)では、フィリピンに進出している会員企業相互の交流を図るとともに、企業の円滑な活動のため、様々な情報提供活動を行い、経営上の課題となっている事柄に対して関係機関とも連携し、その解決に当たっています。具体的には案件のプライオリティーに従い、フィリピン日本人商工会議所が所属するJoint Foreign Chambers (外国商工会議所連合)メンバーと共に、しかるべき機関に「ポジションペーパーや提言」を提出する活動を行っています。

最近では、フィリピンの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の批准に関するポジションペーパーがあります。この協定が批准されれば、域内の特恵関税など輸出入においても日本企業にも大きなメリットがあります。今やアセアンでRCEPを批准していないのはフィリピンだけであり、その早期批准が待たれます。

この件に関しては、8月10日にジャカルタで行われた毎年恒例のASEAN事務総長とASEAN日本人商工会議所連合(FJCCIA)との対話でも議長として、ASEANの目指すASEAN包括的復興枠組み(ACRF)に基づき、提言を行いました。

又、会員企業相互の交流を図る取組の例としては、8月に暑気払いを大使館と日本人会の協力を得て大使公邸で開催しました。コロナ以降では最大規模となる300名程の方々にお集まり頂き、大変な盛会となりました。

 

 

編集部

 

アジア・大洋州三井物産マニラ支店長としての取組は?

 

嶋田氏

 

商社ですので、このエリアの発展もさることながら、今あるものはさらに強く、またその周辺を取り込んだ展開を推進したいと考えています。
フィリピンはまだ国として成熟していない側面も多く、それが理由で効率的に経済が回っていない部分もありますので、商社として貢献できる機能は数多くあると感じています。またフィリピンの産品を更に海外に輸出し、日系企業のプラスになる日本産品の輸入もさらに増やしていきます。最近和牛の輸入を開始したのですが、弊社のスタッフがまず和牛を食べたことがなかった(笑)。近々に和牛テイスティング会を開催する予定です。

また、インフラ系、特に太陽光発電については第一号案件を手掛けたばかりです。これはメラルコ傘下の発電事業会社と共同で持ち株会社を設立、メガソーラーを開発して売電するものです。三井物産が東南アジアでメガソーラーを手掛けるのは初めてであり、石炭火力の比率が高いフィリピンで再生エネルギーへの転換需要を開拓し市場の認知をあげていきたいと考えています。
国として発展するためには輸出を増やし、産業を誘致するのは大切ですが、この国の成長を支える電気エネルギーのコントロールが不可欠だと考えています。
そして私の大きな任務は、成長著しいアジア諸国の中でもフィリピンに目を向けてもらうことです。そのためにも、しっかりとしたパートナーとタッグを組み、常に前向きにへこたれず、フィリピンをしっかりPRしていきたいと思っています。

 

 

編集部

 

これまでのご経歴を教えてください。

 

嶋田氏

 

1989年(平成元年)に三井物産に入社、バブル期入社です。最初の所属は自動車部で、海外に自動車や二輪車等を輸出する仕事を担当しました。1997年に初の海外駐在でカナダに赴任。当時は英語もまともに話せず、大変苦労した思い出があります。出向先の会社は自動車生産工場向けに部品を多くの部品会社から集荷して、工場にタイミング良くお届けする、所謂サードパーティーロジスティクスの会社でした。三井物産としては初めての事業でしたが、日本の自動車会社が北米生産を増強する時流に乗って、カナダのみならずアメリカの仕事も受注するようになり、アメリカにも進出。私もカナダからアメリカに異動して、アメリカ、カナダ、メキシコをカバーする会社の社長をやらせていただき、都合11年間北米で勤務しました。トヨタ等のお客様のロジスティクス業務を担う中で、カイゼンを徹底的に学ばせていただき、身体にしみつきました。お陰様で私生活でも無駄が大嫌いになりました(笑)。その後いったん東京にもどった後、本社で幾つかの部署の室長、三井物産豊田支店長を経験させて頂きました。
そのあと、インドネシア、シンガポールに赴任したのち、2020年にフィリピンに着任しました。

 

 

編集部

 

これまでのご経歴の中でビジネスマンとして印象深かったことは?

 

嶋田氏

 

1997年、ロジスティクス会社の副社長としてカナダに駐在した当時、商習慣など日本との大きな違いを如実に感じました。北米は訴訟社会だと聞いてはいましたが、とにかく数多くの訴訟に直面しました。内容も、ハラスメント、人種差別、性差別、年齢差別、不法解雇、交通事故、労働争議等々、枚挙にいとまがありません。こうした訴訟により、会社としての事前予防や対応策などをたくさん学んだ時期でもあり、肝が鍛えられた経験でもありました。

また、事業がロジスティクスという輸送業に関わることもあり、輸送関係の労働組合からは相当狙われました。組合化選択選挙前などは、夜も眠れぬ日々を過ごしたことを懐かしく記憶しています。そんな中、うれしかったこともたくさんありました。一例ですが、物流倉庫現場で人が見ていないところでも、自分の仕事を寡黙にしっかりとこなしてくれる大人しいアフリカ系アメリカ人の男性従業員に突然声をかけられました。私は現場が好きだったので、現場に行くとたいがいつまらないジョークを従業員の方々と交わしていましたが、この時の彼のただならぬ雰囲気に『何か重いことを聞かされるかも・・・』と身構えたのですが、彼曰く「チームリーダーに昇進したお陰様で家のローンが組めるようになったんですよ。家が買えるなんで考えてもいなかった。ありがとう!」と笑顔で話してくれました。その時、会社って、人に幸せを感じるてもらうことができる大切なものだと実感するとともに、こんな社員が沢山いる会社にしたいと心の底から思ったものです。

 

 

編集部

 

座右の銘を教えてください。

 

嶋田氏

 

よく使うのは「walk the talk」です。有言実行ですね。そして、「ネアカのびのびへこたれず」。これは三井物産元社長、八尋 俊邦氏の言葉です。私自身何度かこの言葉で救われもしましたし、頑張ろうと思わせてくれます。そして、「笑う門には福来る」ですね(笑)

 

 

編集部

 

ご趣味は?

 

嶋田氏

 

日本ではバイクに乗っていましたね(笑)。ZZR1400 で一日に600キロ走ったこともあります。フィリピンではバイクや車には乗れませんので、ゴルフをやったり、たまにですがスキューバーダイビングに行ったりもします。実は19歳の時に、日本でアルバイトしていたダイビング店のガイドの仕事でフィリピンに同行したことがあるんですよ、その時が初フィリピン、初海外でした。そんなフィリピンに駐在することができるとは、夢にも思いませんでした。

 

 

編集部

 

お好きな本は?

 

嶋田氏

 

基本、乱読なのですが、総じて稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)の著書が好きですね。特に哲学的なところ、失敗し続ける、人に感謝する、偉ぶらないなど、自分もそうありたいと思わせてくれる著書です。

 

 

(取材:2022年9月23日)

 

 

プロフィール

1965年千葉県生まれ。中央大学卒業後、89年三井物産株式会社入社。2001年、Transfreight (米国) CEO、10年、三井物産豊田支店長。その後、Bussan Auto Finance(インドネシア)President Director、アジア・大洋州三井物産(シンガポール)モビリティ商品本部長などを経て、20年、アジア・大洋州三井物産マニラ支店長。22年3月にフィリピン日本人商工会議所(JCCIPI)会頭に就任。

【座右の銘】
Walk the talk(有言実行)、ネアカのびのびへこたれず(三井物産元社長、八尋 俊邦氏の言葉)、笑う門には福来る

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パンデミックの最中にアジア・大洋州三井物産マニラ支店支店長として来比、この4月からはフィリピン日本人商工会議所の会頭を務める嶋田慎一郎氏に、フィリピンの印象とポテンシャル、現在、これからの活動などについてお聞きしました。
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