高品質なタイヤの生産・販売で、フィリピン経済の一翼を担う
YOKOHAMA TIRE SALES PHILIPPINES INC.
President
針山 聡さん
1964年、福岡生まれ。3歳頃から小2まで尼崎。その後、高校卒業まで名古屋で生活。大学から東京・首都圏へ。そして1988年に横浜ゴム㈱へ入社。最初の3年間は神奈川県の販売会社に出向。その後は本社で3〜4年。後は3〜4年おきに販売会社と本社を行ったり来たり。国内営業をメインに従事。現職の直前は秘書室勤務。2015年3月に来比し、現在に至る。
〈好きな言葉〉
「一期一会」ですね。フィリピンに来る前はフィリピン人の友人は一人もいませんでしたが、今はたくさんいます。また、海外という新しい環境に飛び出したからこそ、初めて出会えた人もいます。どんな出会いも自身の成長につながると思います。
クラークの工場で月に81万本のタイヤを生産する能力を有する横浜ゴム株式会社(以下「ヨコハマタイヤ」という。)。フィリピン国外にも広く輸出。タイヤは乗員の生命を預かる役目も担っているからこそ、ジャパンクオリティの高品質なタイヤをフィリピンの方にもお届けしたい。そんな想いを持つ、YOKOHAMA TIRE SALES PHILIPPINES INC.の針山さんにお話しを伺いました。
編集部
ヨコハマタイヤに入社されたきっかけは?
針山さん
学生時代は野球に没頭していて、あまり将来について考えていませんでしたが、縁あって会社に拾ってもらいました(笑)。イチから会社に育ててもらった形です。
編集部
世界各国に拠点を持つ中で、フィリピンはどのような位置付けでしょうか?
針山さん
クラークにある工場は敷地面積44.7haあり、ヨコハマタイヤの全世界の工場の内、2番目の広さを誇る重要拠点であり、従業員3,000人が働いております。フィリピン経済に非常に貢献していると広く認知されており、ヨコハマタイヤの知名度は非常に高いと感じています。フィリピン国内に生産拠点を展開する日系自動車メーカーに、フィリピン工場製の新車用タイヤを多く納入させていただいている為、新車のタイヤを履き替える際のヨコハマタイヤへのリピート率が高く、アドバンテージを持った販売活動ができています。フィリピン国内の全体シェアは、20%程度と推定しています。非常に安価な競合他社も居ますが、高品質でバリエーションに富んだ商品展開によって、永年かけて構築したお客様からの信頼を武器にシェアをもっともっと引き上げていきたいですね。
編集部
フィリピンで販売されている商品ラインナップを教えてください。
針山さん
メインで販売しているのは、ブルーアースとジオランダーという2商品です。又、新車のタイヤを履き替える際にそれ迄に装着されていたものと同じ商品をリピートする率が高いことから、新車用タイヤのA-300というシリーズも量が出ています。
編集部
他の国々に比べ、フィリピンで事業を行う魅力やメリットは?
針山さん
アジア圏の中でも経済成長率が高く、また新車の販売台数も非常に伸びています。この傾向は2020年頃まで続くと予測されています。ビジネスチャンスがまだまだ広がっていく期待が出来ますよね。現在のアドバンテージを維持しつつ、事業拡大のチャンスを逃さない様に、常にアグレッシブに取り組んでいきたいです。
編集部
フィリピンでの今後の販売戦略は?
針山さん
フィリピンでは、私たちの商品は、主に系列小売店を通じて販売されていますので、需要の伸びに合った店舗数の拡大を検討しています。また、今までは乗用車のタイヤのみ扱っていましたが、トラック需要の伸びに合わせ、トラック用タイヤの販売にも注力し始めました。系列販路と取扱アイテム双方の拡大によって、販売ボリュームを伸ばしていく事が使命と認識しています。
編集部
2015-16シーズンから「ヨコハマタイヤ」は、イングランドのサッカープレミアリーグの名門、 「チェルシーFC」のスポンサーとなっていますが、フィリピンではどのような効果を期待されますか?
針山さん
ご存知の通り、フィリピンではあまりサッカーが認知されていないので、即効果は難しいです(笑)。まずは、プライマーの読者である日本を始めとしたサッカーが浸透している諸国からフィリピンに駐在されている皆様にアピールができればと思っています。一方で、フィリピンではバスケットボールが国民的スポーツに位置していますので、プロバスケットボールのPBAともスポンサー契約をしています。バスケットボール、サッカー双方によって、認知度向上につながる策を検討中です。
編集部
フィリピンで事業を行う上で、苦労している点は?
針山さん
タイヤは結構高価なものですから、消費者目線から見れば、できるだけ安いものを選ぼうという傾向になりがちです。その為、日本メーカー以外の安値商品を展開する新興メーカーの進出が著しくなっています。ジャパンクオリティの高さをアピールして、如何に当社の商品に目を向けてもらうかが課題ですね。
永年にわたって研究とテストをした上で、市場に流通させている商品ばかりですので、特に安全への信頼性では負けません。そのあたりを認識していただいて、ヨコハマタイヤを選んでもらえたらと思います。タイヤの履き替えをご検討の方、是非アドバイスさせてください!
編集部
他のメーカーに信頼性でどのように勝っていると思われますか?
針山さん
ゴムには、時間が経つと劣化したり、熱変化に左右されたりする性質があります。勿論タイヤに使用されているゴムは、その辺りの弱点を克服したものが採用されていますが、フィリピンの路面は、気温の高さや、時に激しい降雨、又、特に首都圏に於ける渋滞時の「STOP&GO」等、タイヤにとって過酷な条件である事は間違いありません。早期の磨耗やクラック(主に日光による劣化)、パンク、バースト(破裂)等が発生し易い環境で あると言えます。
当社は永年、フィリピンの路面に最適なタイヤを皆様にお届けしてきました。経験・ノウハウの面では、一日の長があると思います。タイヤは走っている時に壊れたら、生命にかかわる可能性もあります。安いものが必ずしも悪いとは言い切れないですが、少し高くても信頼できる品質の良いものを選んでいただきたいですね。
編集部
フィリピン人スタッフの優秀なところは?
針山さん
これまでにアメリカやカナダ、マカオ、スペイン、その他のヨーロッパの国々を訪問したことがありますが、どこに行っても、フィリピン人が働いているんですよ。フィリピン人の中には、タガログ、英語のみならず日本語その他の複数の言語を話せる人が居ます。語学習得力の高さは、フィリピン人の強みの一つだと感じています。当社の社員の場合であれば、小売店のスタッフと、その家族とも親戚・友人のように親密に付き合えるというのが強みですかね。フレンドリーでホスピタリティが高いです。
編集部
海外で働く日本人に対して、思うことや感じることはありますか?
針山さん
フィリピンを含め、海外でも日本式のセールス方法が意外と通用する場面があるのではと思います。人付き合いをして、ちゃんと提案ができれば売り上げが伸びていく。ただ社内を見ると、フィリピン人スタッフは小売店への提案がなかなか出来ていません。提案スキルを教えるもの私の課題だと感じています。逆に、ホスピタリティや人とのつながりという面では、フィリピン人から学ぶことも多くあります。お互いの良いところを見本にして、お互いに成長してほしいですね。
編集部
心に残っている本は?
針山さん
近年では、「流星ワゴン」(重松清)。ふと手にした本でしたが、父子の心の繋がりに涙しました。又、最近「日本を捨てた男たち フィリピンに生きる”困窮邦人”」を読んで、びっくり仰天しました。フィリピン生活の参考には出来ません。
編集部
プライベートな時間はどのように過ごされていますか?/p>
針山さん
ゴルフをするか、ジムで走るか、あとはモールで映画を観るかですね。ただフィリピンで映画を観ると字幕がないから理解できなかったりします(笑)。
編集部
針山さんご自身の「今後の展望」や「夢」についてお聞かせください。
針山さん
ヨコハマタイヤの製品を広めるためにフィリピンで出来ることには全部チャレンジしていきたいと思っています。ここで成功した経験を持って次のステップに進みたいです。生活面を含めて、限られた人しかできない経験ですから、これを必ず今後の人生に活かしていきたいです。個人的な夢ですと、家族と一緒にもっと海外の色々な国に行ってみたいなという思いは月並みながらあります。
ヨコハマタイヤ小売店「Tire City Inc.」
住所:Mc. Arthur Highway, Dau Mabalacat, Pampanga
ヨコハマタイヤ工場
住所:Industrial Estate 5, Clark Freeport Zone 2023 PHILIPPINES