スタートアップの成功事例を創造し、ユニコーンを輩出するエコシステムを作る
2019年6月に2日間にわたって開催された「IGNITE 2019」。「グローバル市場におけるアジアのスタートアップの役割と、いかにアジアでのイノベーションがグローバルテクノロジー領域で先進的か」をテーマにしたこのカンファレンスはスタートアップメディアを運営するTechShake、広告代理店のdentsuX、スタートアップ向けのコンサルティングを手がけるBrainsparksの3社が主催し、多くの参加者が起業や新規事業の立ち上げをテーマに熱い議論を交わした。今回は、ビジネス烈伝の番外編として、IGNITEを運営するdentsu X 窪崎さんとTechShake足立さんのお二人にお話を伺った。
パネルディスカッション「What We Learn From Startups: How Corporate Innovation Has Shifted From Conducting Internal R&D To Investments, Acquisitions And Partnerships With Startups .」
dentsu X
エグゼクティブディレクター/窪崎将さん
広島県広島市出身、タイ育ち。2006年に米国クラーク大学卒業後、2007年に電通に入社。2010年から4年間、アソシエイトプランニングディレクターとして北京に駐在。東京本社を経て2018年10月から現職。
TechShake
共同創業者/足立幸太郎さん
兵庫県神戸市出身。2004年関西学院大学卒業。スタートアップ企業の海外事業部でロシア向けの輸出やフィリピン進出に携わった後、スペインのIEビジネススクールでMBAを取得。TechShakeなど複数の企業のマネージメントに携わる。
編集部
イベントの趣旨を教えてください
窪崎さん
投資家や企業、そしてスタートアップが集まり、互いの事業成長の促進とイノベーションを起こすことが狙いです。今年は15カ国もの国々の企業や経営者に参加していただき、2日間の参加者も2,000人と昨年の2倍の規模になりました。注目度が年々高まっているように感じます。
足立さん
アジアのスタートアップイベントといえば香港やシンガポールで開催されることが多く、ぜひフィリピンでやってみたいという思いもありました。フィリピンで会社を運営するうえで法律や税制はとても複雑です。投資家が投資する際の不安材料を少しでも軽減できるよう、イベントに参加できる企業の基準は厳格に設けています。
編集部
イノベーションには何が必要でしょうか?
窪崎さん
イノベーションとスタートアップに重要な要素は、起業家精神であるアントレプレナーシップとアイディア、そしてテクノロジーの3つです。そしてこの3つが融合する必要があります。世界を変えたいと思う起業家精神があり、具現化するアイディアがあり、それらをテクノロジーの力で加速させていく。スタートアップの強みは、深い専門知識と事業を進めるスピードの速さにあります。一方で弊社には様々な領域における知識やノウハウがあり、事業をスケールする力があります。イノベーションを起こすためには互いの強みを持ち寄り、新しいビジネスが創造しやすいエコシステムの醸成が大切です。
編集部
フィリピンのスタートアップにはどういった分野が多いのでしょうか?
足立さん
送金やマイクロファイナンスといったファイナンスとテクノロジーを掛け合わせた分野が目立ちます。この国のキーテーマは貧困層です。スタートアップが増えてサービスが充実することで、フィリピン経済はポジティブに変化するでしょう。
多くの参加者が会場を埋めた
編集部
フィリピンのスタートアップの課題を教えてくさい
足立さん
スタートアップコミュニティーの歴史が浅く、成功事例がでていないことが課題です。2012年前後に国内の通信会社がアクセラレータープログラムを始めましたが、まだまだシードステージのスタートアップばかりです。「この国に投資して大丈夫なのか」という投資家の不安は、まだ拭い切れていない状態だと思います。
窪崎さん
アジアのスタートアップ全体に言えるのは、上場や売却などの出口戦略、いわゆるエグジットが他国と比べて少ないですね。アジアとしてエグジットの形をどのように作り出すのか。そのルートをつくれる人が求められています。大手の財閥系の会社が買収したり、日系企業が現地に進出する際に買収したりと、いくつか方法はあるばずです。
編集部
アジアの中で日本のスタートアップの立ち位置をどうお考えでしょうか?
窪崎さん
私は日本が取り残されている印象を抱いています。日本のスタートアップは国内のマーケットだけで完結するサービスが多い一方、他国はアジア全体でサービスを展開しようとしており、スケール感の違いが決定的です。
足立さん
評価額が10億ドル以上の非上場のスタートアップを「ユニコーン」といいますが、日本からはメルカリ1社しか出ていません。インドネシアやベトナムでは、今年1年だけでも複数の会社が登場しました。東南アジアのスタートアップは「東南アジア全体を市場として捉えている」と言わないと、投資をしてもらえないことから、そのビジョンに沿って拡大戦略を立案&実行していきます。しかし日本ではある程度の投資がついてしまうのがジレンマになっています。
会場ではあちらこちらで情報交換をする姿が見られた
編集部
フィリピンのスタートアップの可能性についてご見解を教えてください
足立さん
フィリピン市場の面白いところは、勝者がはっきりとしている産業が少ないことです。国内には1億人以上の人口がいるため、食料やイーコマース、ファイナンスなどの分野をきちんと狙えば、ユニコーン化する可能性があります。スタートアップがこれから勝負できる土壌があり、投資家は投資をする点で非常に面白いはずです。若者が多く消費意欲も高いので、イーコマースが拡大する可能性もあります。
編集部
フィリピンのスタートアップが成長するためには今後何が必要でしょうか?
窪崎さん
1つでも成功事例が確立されれば、市場は大きく変わるはずです。フィリピンの企業からは「どういったスタートアップと協業したらよいかわからない」という声を聞きます。そういった課題を解決するために、私たちが率先して企業や投資家をマッチングする場やイベントの機会を設け、一緒に成功事例を作り出していきたいです。1つ事例ができたら、絶対にみんながついてくるでしょう。
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