ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  ライセンス契約について【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第三十五回】

ライセンス契約について【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第三十五回】

『ライセンス契約について』


今月の事例

Q.フィリピンの会社に対して自社の技術のライセンスを許諾しようと思うのですが、契約を締結するにあたって注意点はありますか?

 

 

<フィリピンで有効なライセンス契約とは>


    日本の会社がフィリピンの会社に技術ライセンスを提供して製品の製造等を行わせるケースが多いと思われますが、仮に問題が起こった際に不利にならないよう、自社の権利を十分に保護した上でライセンスを供与することが必要となります。もっとも、ライセンシーとの契約はフィリピン法上有効でなければなりません。そこで、日本の会社がフィリピンの会社に対してライセンスを付与する契約を締結するに当たっての注意点を説明致します。

まず、フィリピンにおいては、このような技術のライセンスに関する契約をTechnology Transfer Agreement(TTA)に分類し、TTAがフィリピンにおいて有効かつ強制可能なものであるためには、フィリピン知的財産法(The Philippine Intellectual Property Code)が必ず規定されなければならない事項、および、規定してはならない事項を定めていますので、前者についてはこれを必ず盛り込み、後者についてはこれを含まないようにしなければなりません。

 

<規定しなければならない事項>


   (1)フィリピン法が準拠法であり、紛争が発生した際にはライセンシーの本店所在地を管轄する裁判所が管轄を有すること
(2) TTAの期間中、技術の改良等があった場合、ライセンシーがそれらにアクセスすることができること
(3) 紛争解決手段として仲裁を選択する場合、フィリピン仲裁法、UNCITRALまたはICCの手続法を適用し、仲裁地がフィリピンまたは第三国とされている(日本ではない)こと
(4) フィリピンで発生する税金はライセンサーが負担すること

 

<規定してはならない事項>


(1)定められた者から重要な物、中間製品、原材料等を購入することを義務づけること等
(2)ライセンサーに再販価格を決定する権限を与えること
(3)製造量及び構造に制限を加えること
(4)非独占的なTTAにおいて、競合する技術の利用を禁止すること
(5)ライセンサーに有利な購入権を規定すること
(6)ライセンシーによる発明や改良を無料でライセンサーに移転することを義務づけること
(7)使用されない特許の使用料の支払いを義務づけること
(8)合理的理由なくしてライセンス製品の輸出を禁止すること
(9)TTAの有効期間経過後におけるライセンス技術の利用を制限すること
(10)特許その他知的財産権の失効後もその使用料の支払いを求めること
(11)特許の有効性を争うことを禁止すること
(12)ライセンシーによるリサーチ活動を制限すること
(13)輸入された技術をローカルの現状に適合させることを禁止すること
(14)ライセンサーの責任を免責すること
(15)その他同等の効果を持つ条項を規定すること

規定することが義務づけられている事項についての規定がない、または、規定してはならない事項を含むライセンス契約は、フィリピンにおいては強制不可能な契約となります。もっとも、かかる契約であったとしても、フィリピン側にメリットが大きい場合などは当局(Documentation Information and Technology Transfer Bureau;DITTB)から認定を受けることにより、例外的に強制可能な契約として認められる場合があります。
なお、知的財産局(Intellectual Property Office; IPO)にライセンス契約を登録することは義務づけられてはいませんが、登録がなされたライセンス契約は当局により強制可能なライセンス契約と認められたことを意味しますので、特段の事情がない場合には登録されることをお勧めします。

 

結論

A.フィリピンで有効なライセンス契約となるためには要件がありますので、それを充たす契約書の締結が必要です。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



- - - - - - - - - - - - -

弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
住所: Don Pablo Building 114 Amorsolo Street, 12290Makati City, MetroManila, Philippines
電話:02-8892-3011(代表)・02-8892-3020(日本語対応)・0917-851-2987
E-mail: [email protected]
URL: http://www.quasha-interlaw.com



- - - - - - - - - - -- - - - - - -

(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
(桃尾・松尾・難波法律事務所)
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目1番地
麹町ダイヤモンドビル
電話:+81-3-3288-2080
FAX:+81-3-3288-2081
E-mail: [email protected]
E-mail: [email protected]
URL: http://www.mmn-law.gr.jp/

 

広告

フィリピン法律あらかると 前回のコラム

民事裁判で勝訴判決を得ても被告が自発的に判決で命じられた金銭の支払いを行うとは限りません。そこで、被告が自発的に支払いを行わない場合に判決を執行する方法について説明します。

新着コラム

フィリピン法人(株式会社)において増資を考えていますが、どのような手続が必要ですか?
フィリピン人と日本人夫婦の協議離婚についての最高裁判決が出たとのことですが、どのような内容ですか?
フィリピンでの職場におけるハラスメントに関する法律はどのようなものがありますか?
日本で持っている登録商標をフィリピンでも保護したいのですが、どうすればよいですか?
日本では被疑者に警察などが接触せずにいきなり逮捕する場合がありますが(この場合、警察などが裁判所に逮捕状を請求して裁判所が逮捕状を発行し、その逮捕状を執行するという形での逮捕となります)、フィリピンでも日本と同様に被疑者がいきなり逮捕されるということはあるのでしょうか。本稿ではフィリピンでの逮捕の手続について解説させて頂きます。
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you  |   【フィリピン在住者向け】コンシェルジュ&会員制コミュニティ Barong Club
ページトップに戻る