『フィリピンへの投資勧誘』
今月の事例
Q.フィリピンで事業を行うために、フィリピン法人を受け皿にして日本からの投資を募集したいと思って いるのですが、法律上の規制はありますか?
<フィリピンへの投資>
フィリピンにおける事業のために投資の勧誘がなされる事例を見かけることは多いと思いますが、そもそもフィリピン法人への投資勧誘についてはどのような法的規制があるのかについて概略を説明いたします。
ここでは2種類の投資勧誘方法をピックアップしてご説明します。
1.新規設立
フィリピンで事業を行うにあたって新たに法人を設立することとし、その設立時の株主になることを勧誘する場合があります。この方法については、フィリピン証券取引法上、規制はありません。もっとも、株主となった投資家は株主総会での議決権がありますので、事業を主体的に行いたい投資勧誘者が大半の株式を所有し、ごく一部の投資を募る場合以外には使われない方法といえるでしょう。
2.事業からの収益の配分を約束する証券の発行
この方法は、既に存在するフィリピン法人が投資家に対して投資に関する契約を締結したり、事業からの利益配分を約束するスキームへの参加を証明する証券を発行したりして投資を募る場合が該当します。もちろん、この場合、必ずしも投資された元本の返還は保証されておらず、事業が失敗した場合には元本割れ、最悪の場合には一切返金がないということがありえます。
このような契約又は証券そのものはフィリピン証券取引法における規制対象となる証券(securities)に該当します。証券取引法は同法の規制対象となる証券の取引については、規制除外取引(exempt transactions)に該当する場合、又は、規制除外証券に該当する場合を除いては、当該証券を発行する者がSECに定められた書類を提出し、これをSECが承認することを義務付けています。もし、これに違反した場合、最高で500万ペソ及び21年の懲役刑が課せられることになります。
規制除外証券とは、政府や銀行が発行する証券等に限られますので、このケースでは規制除外取引に該当するかどうかがSECへの届出及び承認が必要かどうかのポイントとなりますが、直近12ヶ月以内に20名未満の者に対 する証券の販売に該当する場合、又は、適格投資家対象の販売を除いては規制除外取引に該当することはなさそうです。
規制除外取引に該当しない場合にはSECへの届出及び承認が必要となり、その必要書類はかなり広範に及びますので、小規模な投資案件の場合は現実的にはこれを行うことは難しいでしょう。なお、投資家への勧誘及び契約の締結、証券の発行等が海外でなされたとしても、発行主体がフィリピン法人である限りはフィリピンの証券取引法が適用されることにも注意が必要です。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。
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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等
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