『会社法改正~一人会社とは?~』
今月の事例
<会社法改正>
国会で審議されていた会社法の改正法案が可決され、ドゥテルテ大統領が2月20日に署名したことにより、成立しました。もっとも、施行規則がまだ発表されていないため、実際に運用が開始されるまでにはしばらく時間がかかりますが、法律の内容に影響を与えることはありませんので、今回は新会社法において新たに定められた一人会社(One Person Corporation)についてご説明させていただきます。これまでは株式会社を設立するためには最低でも5名の株主が必要とされていましたが、今回の会社法改正により、一人の株主でも会社を設立することが可能となりました。そこで、一人会社と一般的な株式会社とで異なる主要な点についてご説明させていただきます。
1.株主となることができる者
一般的な株式会社の場合、自然人だけでなく、法人も株主となることができましたが、一人会社の場合は自然人のほか、信託及び財団のみが株主となることができます。従いまして、日本の親会社がフィリピンにおいて一人会社を子会社として設立することはできません。また、外資規制の点から言いますと、一人会社は外国人が設立する場合には100%外資の法人となりますので、ネガティブリストで外国人が100%の資本で参入することが認められている業種以外の会社を設立することはできません。
2.付属定款
一人会社の場合、一般の株式会社と同様に定款を登録することは必要ですが、付属定款を登録することは求められません。
3.役員構成
一人会社の場合、一人株主が唯一の取締役であるとともに社長(President)となります。なお、このほかに財務役と秘書役が必要なことは一般の株式会社と同じです。
4.保証金の積み立て義務
一人会社の株主である取締役が死亡または無能力となった場合に備え、定款において、そのような場合に法人の業務を遂行する代理者及び代替代理者を指名することが必要です。
一人会社の株主は自らを財務役に指名した場合には、SECが要求する額の保証金を積むことが必要となるとともに、会社の資金を定款に従って使用することにつき、書面にて誓約をする必要があります。
5.代理者(Nominee)及び代替代理者(AlternativeNominee)の指名
一人会社の株主である取締役が死亡または無能力となった場合に備え、定款において、そのような場合に法人の業務を遂行する代理者及び代替代理者を指名することが必要です。
6.一人株主の責任
一人株主が一人会社の債務に関連して限定責任を主張し、株主個人への債務追及を逃れようとする)場合、その一人株主は一人会社が事業を行うためには十分な資産を有していたことを証明する必要があります。また、一人会社が一人株主の個人資産から独立していたことを証明できない場合も一人株主は一人会社の債務につき、連帯責任を負います。いずれにせよ、具体的な運用のためには施行規則の公布がまだですので、それを待つ必要があります。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。
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