ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  会社法改正~一人会社とは?~【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第五十一回】

会社法改正~一人会社とは?~【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第五十一回】

『会社法改正~一人会社とは?~』


今月の事例

Q.改正された会社法で認められた一人会社とはどのような会社ですか?

<会社法改正>


  国会で審議されていた会社法の改正法案が可決され、ドゥテルテ大統領が2月20日に署名したことにより、成立しました。もっとも、施行規則がまだ発表されていないため、実際に運用が開始されるまでにはしばらく時間がかかりますが、法律の内容に影響を与えることはありませんので、今回は新会社法において新たに定められた一人会社(One Person Corporation)についてご説明させていただきます。これまでは株式会社を設立するためには最低でも5名の株主が必要とされていましたが、今回の会社法改正により、一人の株主でも会社を設立することが可能となりました。そこで、一人会社と一般的な株式会社とで異なる主要な点についてご説明させていただきます。

 

1.株主となることができる者

一般的な株式会社の場合、自然人だけでなく、法人も株主となることができましたが、一人会社の場合は自然人のほか、信託及び財団のみが株主となることができます。従いまして、日本の親会社がフィリピンにおいて一人会社を子会社として設立することはできません。また、外資規制の点から言いますと、一人会社は外国人が設立する場合には100%外資の法人となりますので、ネガティブリストで外国人が100%の資本で参入することが認められている業種以外の会社を設立することはできません。

2.付属定款

一人会社の場合、一般の株式会社と同様に定款を登録することは必要ですが、付属定款を登録することは求められません。

3.役員構成

一人会社の場合、一人株主が唯一の取締役であるとともに社長(President)となります。なお、このほかに財務役と秘書役が必要なことは一般の株式会社と同じです。

4.保証金の積み立て義務

一人会社の株主である取締役が死亡または無能力となった場合に備え、定款において、そのような場合に法人の業務を遂行する代理者及び代替代理者を指名することが必要です。

一人会社の株主は自らを財務役に指名した場合には、SECが要求する額の保証金を積むことが必要となるとともに、会社の資金を定款に従って使用することにつき、書面にて誓約をする必要があります。

5.代理者(Nominee)及び代替代理者(AlternativeNominee)の指名

一人会社の株主である取締役が死亡または無能力となった場合に備え、定款において、そのような場合に法人の業務を遂行する代理者及び代替代理者を指名することが必要です。

6.一人株主の責任

一人株主が一人会社の債務に関連して限定責任を主張し、株主個人への債務追及を逃れようとする)場合、その一人株主は一人会社が事業を行うためには十分な資産を有していたことを証明する必要があります。また、一人会社が一人株主の個人資産から独立していたことを証明できない場合も一人株主は一人会社の債務につき、連帯責任を負います。いずれにせよ、具体的な運用のためには施行規則の公布がまだですので、それを待つ必要があります。

結論

A . 一人会社とは、株主が一人で設立することができる会社です。もっとも、法人が株主になることはできませんので、日本の親会社が子会社を作る目的で利用することはできません。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



- - - - - - - - - - - - -

弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
住所: Don Pablo Building 114 Amorsolo Street, 12290Makati City, MetroManila, Philippines
電話:02-8892-3011(代表)・02-8892-3020(日本語対応)・0917-851-2987
E-mail: [email protected]
URL: http://www.quasha-interlaw.com



- - - - - - - - - - -- - - - - - -

(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
(桃尾・松尾・難波法律事務所)
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目1番地
麹町ダイヤモンドビル
電話:+81-3-3288-2080
FAX:+81-3-3288-2081
E-mail: [email protected]
E-mail: [email protected]
URL: http://www.mmn-law.gr.jp/

 

広告

フィリピン法律あらかると 前回のコラム

解雇された従業員がDOLEに異議を申し立て、当社に連絡が来ました。これはどのような手続きでしょうか?

新着コラム

フィリピンでの職場におけるハラスメントに関する法律はどのようなものがありますか?
日本で持っている登録商標をフィリピンでも保護したいのですが、どうすればよいですか?
日本では被疑者に警察などが接触せずにいきなり逮捕する場合がありますが(この場合、警察などが裁判所に逮捕状を請求して裁判所が逮捕状を発行し、その逮捕状を執行するという形での逮捕となります)、フィリピンでも日本と同様に被疑者がいきなり逮捕されるということはあるのでしょうか。本稿ではフィリピンでの逮捕の手続について解説させて頂きます。
フィリピンでも日本と同様にコロナのパンデミック期間にリモートワークが拡がりを見せましたが、フィリピンにおけるリモートワークに関する法制について今回はご説明させて頂きます。
フィリピンの空港から出国しようとする際に、イミグレーションの係官に止められて出国できないという場合があり得ます。これは、出国しようとした外国人に何らかの出国を制限する命令が出ているためです。そこで、まずどのような出国禁止命令があるのかにつき解説します。
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you
ページトップに戻る