『フィリピンの環境法制』
今月の事例
1.フィリピンの環境法制
まず、フィリピンにはどのような環境に関する法律があるのかを見てみたいと思います。フィリピンにおいて環境に関する規制を担当しているのは環境天然資源省(Department of Environment and Natural Resources)であり、大気汚染、化学物質の管理、環境への影響評価、有害物質廃棄管理、固形廃棄物管理及び水質管理を中心とする環境対策を、以下をはじめとする様々な法律や省令、大統領命令に従って、環境対策を行っています。
(1)Ecological Waste Management Act of 2000(共和国法第9003号)
固形廃棄物の適切な分別、収集、貯蔵、取り扱い及び廃棄方法について定める法律
(2)Philippine Clean Water Act of 2004 (共和国法第9275号)
水源地を地上の物質を原因とする汚染から保護するための規制について定める法律
(3)Philippine Clean Air Act of 1999 (共和国法第8749号)
経済活動への影響をなるべく排除しつつも大気汚染を抑えるための規制について定める法律
(4)Toxic Substances, Hazardous And Nuclear Waste Control
Act of 1990 (共和国法第6969号)
人の健康に害を及ぼす可能性のある化学物質の輸入、製造、加工、販売、使用及び処分等についての規制を定める法律
2.工場操業の際に必要となる主な許可
(1)Permit to Operate Air Pollution Source and ControlEquipment
大気汚染物質を出す装置を使用する場合、必要となる許可です。ボイラーや非常用発電装置、その他燃料放出装置を設置する工場の場合にはこれに必要になります。
(2)Hazardous Waste Generator Registration
事業所が有害物質を出す場合に必要となる許可です。
(3)Wastewater Discharge Permit
工場が廃水を流出する場合に必要となる許可です。
(4)Environmental Compliance Certificate(ECC)
環境に重大な影響を与えるプロジェクト(ECP)に該当する事業を行う場合、または環境的に重要な地域(ECA)において事業を行う場合、ECCの発行を受けることが必要となります。
(5)Certificate of Non-Coverage (CNC)
行おうとする事業が上記のECCが不要である事業であることを証明する証明書であり、事業内容を申請して本証明書を受領します。
これらに加えて、工場がラグーナ州及びリザール州の全市及び地方行政区やメトロマニラの一部を含むラグーナ湖開発公社(Laguna Lake Development Authority;LLDA)の管轄する地域内にある場合は、LLDAクリアランスの取得など、追加で許可を受ける必要があります。最終的に工場を操業するに当たっては、工場の所在する地方行政区から事業許可を受ける必要がありますが、その際には当該工場を操業するに当たり必要となるすべての環境に関する許可を受けていることが条件となりますので、実際に工場を建てることを検討される場合は、どのような許可が必要かにつき事前に確認をすることが必要です。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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