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一時帰国中の駐在員のフィリピンに残った家族のビザ【フィリピン法律あらかると第七十二回】

『一時帰国中の駐在員のフィリピンに残った家族のビザ』


今月の事例

Q.現在駐在員が一時帰国していますが、家族はフィリピンに残っています。駐在員がフィリピンにまだ戻ることができない中、家族のビザの期限が近づいています。家族ビザの更新は可能で しょうか?
 
 
昨年3月からのコミュニティ隔離措置の後、業務の必要性等から、駐在員自身は日本に一時帰国をし、家族のみがフィリピンに残られているケースもあると思います。その後、駐在員自身がフィリピンに再入国することができない中、家族の9(g)ビザの期限が近づいているというケースも発生してきています。そこで、そのような場合、どう対処したらよいのかについて解説させていただきます。

まず、一般的な家族用の9(g)ビザの取得の方法から説明させていただきますと、家族用のビザは駐在員本人が9(g)ビザを取得するときに同時に申請するケースと、先に駐在員本人が赴任して9(g)ビザを取得したあとに家族を呼び寄せてビザ申請をするケースの2種類があります。なお、コロナによるコミュニティ隔離措置前は申請書類の提出後、移民局(BI)で申請者に対するヒアリングが行われていましたが、現在はこのヒアリングの手続は行われていないとのことです。

次に、一般的な家族用9(g)ビザの更新手続ですが、これは、駐在員本人の9(g)ビザ更新の手続きと同時に申請がなされ、駐在員本人のビザ更新がなされた場合、家族も同時に更新がなされます。もっとも、この申請を行うためには、申請者、すなわち、駐在員本人と家族がフィリピン国内にいる必要があります。

それでは、設問のように、駐在員本人が日本に一時帰国している場合ですが、原則論からいいますと、本人のビザが本人がフィリピンにいないため期限までに更新できないとなると、駐在員本人だけでなく、家族のビザも期限の経過により失効することになります(原則的には失効前にビザのダウングレード手続を行うことが求められ、それを怠りますと罰金が科される可能性があります)。しかしながら、コミュニティ隔離措置に伴い、外国人のフィリピンへの入国が制限されている現状に鑑み、移民局に確認したところによりますと、事情を説明する文書を提出することにより、駐在員本人がフィリピン国外にいる場合であっても、家族用の9(g)ビザの更新申請を受け付けることもあるとのことです。具体的な手続につきましては専門家にご相談されることをおすすめ致します。

なお、2月4日付のIATF決議第98号により、これまでは2020年12月17日以降にフィリピンを出国した方に限られていた9(g)ビザ保有者の再入国が、2020年3月20日時点、かつ、再入国時も有効なビザを有する方については2021年2月16日以降可能となったようですが、詳細については本稿作成時点ではよくわかっていません。引き続き、フィリピン政府の発表を随時ご確認ください。
 
 

結論

A.原則は駐在員本人と同時の更新が必要ですが、事情を説明することにより、駐在員本人不在でも更新される場合もあります。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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