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LMC(労使協議制)とは【フィリピン法律あらかると第八十一回】

『LMC(労使協議制)とは』


今月の事例

Q.当社には労働組合はありませんが、労働者の代表がLMC(労使協議制)の導入を求めると言ってきています。労使協議制とはどのようなものなのでしょうか?
 
 
LMC(労使協議制)とは、Labor Management Cooperationの略称であり、会社側と労働者側がお互いに受け入れ可能な手段を通じてより望ましい労働環境の整備をするために採用される協力体制のことを指します。このLMCは労働法上必ず設置する義務があるものではありませんが、労働者が会社の政策決定のプロセスに参加することを促進し、生産性の向上につながる労使関係を創出し、労働環境を改善し、経済的な成長を達成し、維持するという目標を達成するために設置されるものです。労働者側にとっては、このLMCが導入されることにより、労働者側の意見が会社側に伝わりやすくなり、労働組合が存在する場合のみ可能となる労働協約締結のための協議を持つことなくして自らの要望を伝えることが可能となるという点でメリットがあります。他方、会社側としても、任意の労働者側との協議の場を持てることにより労働者の要望を汲むことができますので、労働者側が労働組合を組織することを防ぐ効果があり、メリットがあると言えます。また、労働組合がすでに存在する会社においても、労働協約締結とは関係なく、恒常的に会社側と協議できる体制があることは双方にメリットがあると言えます。

LMCの組織には決まった形式はありませんが、品質管理や生産性向上サークルといった少人数でのグループ方式の活動を通じて労働者が直接参加する体制と、労使協議会のような共同の協議会を通じて間接参加する体制を組み合わせることが一般的であると言えます。 なお、この労使協議会は、労働組合のある会社ではLabor-Management Councilと呼ばれ、労働組合のない会社ではLabor-Management Committeesと呼ばれており、いずれにおいても適切な数の代表が双方から参加することが必要であり、労働者側の構成員は全体の労働者の過半数の賛成により選出されることが必要とされ、会社側の代表者は、トップレベルの役員、人事担当のマネージャー、製造過程のマネージャー(製造会社の場合)やその他の管理職が含まれることが必要です。また、2名の共同議長が置かれ、双方から1名ずつがその任に当たります。

このLMCの設置は会社と労働者のいずれにもメリットがあることから、DOLEもNCMBを通じてその設置及び運営への支援を強力に推し進めており、未設置の会社に対してはその設置のためのオリエンテーションを行ったり、設置後も引き続きオリエンテーションやトレーニング、必要な情報を提供しています。もっとも、LMCは設置すれば自動的に目的が達成されるものではなく、きちんと運用がなされなければ、よりよい職場環境を達成することはできません。会社側としても労働者側にきちんと情報を提供すると共に、誠実に協議に応じる姿勢が必要です。
 
 

結論

A.労使協議制は、会社側と労働者側がお互いに受け入れ可能な手段を通じて良好な労働環境の整備をするために採用される協力体制のことを指します。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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