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小売り自由化法の改正【フィリピン法律あらかると第八十三回】

『小売り自由化法の改正』


今月の事例

Q.小売り自由化法が改正になったと聞きましたが、どのような点が変わったのですか?
 
 
2021年12月10日に外資100%子会社による小売業への参入をより容易にする小売り自由化法(Retail TradeLiberalization Act of 2000)の改正法案に大統領が署名し、本年1月6日の官報掲載から15日経過後に発効となりました(共和国法第11595号)。これを受け、新規にフィリピンで小売業に直接参入する会社が増えていくものと思われます。そこで、本稿では改正法の内容について重要な箇所を中心に解説させていただきます。

1.最低資本金等の変更
従来、高級品または贅沢品に特化した小売業を除いた一般的な小売業を行う内国法人を設立するにあたっては、最低払込資本金が250万米ドルとされ、さらに、1店舗あたり83万ドル以上の投資を行うことが要求されていました。しかし、改正法により、最低払込資本金は2500万ペソに減額されるとともに、1店舗あたりの投資額も1000万ペソに減額されました。(ただし、既に小売業に従事している場合は、この1店舗あたりの投資額の制限は適用されません。)なお、改正前は施行規則で規定されていた「1店舗あたりの最低投資額」が改正法では条文として定義され、従前同様、複数の店舗の運営のために共通で利用される投資や施設(本社の事務所や倉庫等)についても、投資額の算定に入れられることが確認されました。一方、最低払込資本金の金額を事業継続中維持するこ とが求められていることは変わりありません。

2.撤廃された条件
(1) 事業開始後8年以内の株式公開義務
改正前は、外資100%で事業を開始することができたとしても、事業開始から8年以内にその株式の最低30%をフィリピンにおいて公開する義務がありましたが、改正法ではその条項が廃止され、常に外資100%のままで事業を継続できることとなりました。

(2) 親会社の事業要件
改正前は、(a) 親会社の純資産が2億ドル以上、(b) 全世界で5件以上の店舗またはフランチャイズ店があり、少なくともその1店の資本金が2500米ドル以上、(c) 小売業での5年以上の実績を有すること、(d) 親会社所在国においてフィリピン人(企業)が小売業に参入できることが必要とされ、これらの要件を満たすことをフィリピン投資委員会(BOI)に対して事前申請を行い、事前認可証明を受けることが必要とされていましたが、これらの条件は不要となりました。なお、上記(d)の要件は引き続き必要とされています。もっとも、小売り自由化法の改正法に関する施行規則が本稿脱稿時にはまだ発表されておりませんので、実際の運用は施行規則の発表を待つ必要があります。
 
 

結論

A.最低資本金と1店舗あたりの最低投資額が引き下げられ、親会社に関する要件も撤廃されました。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


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