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民事裁判判決の執行について【フィリピン法律あらかると第八十七回】

『民事裁判判決の執行について』


今月の事例

Q.フィリピンの裁判所でフィリピン法人に対する金銭支払請求の裁判に勝訴しました。フィリピンでは判決はどのように執行されるのでしょうか?
 
 
ご承知のとおり、フィリピンで民事裁判を提起した場合、判決を得るまでに相当な時間がかかることが想定されますが、仮に民事裁判で被告に対して金銭の支払いを命じる判決を得た場合、どのように執行するのかにつき説明させていただきます。判決を執行するためには、その判決が最終的に確定している必要がありますが、本稿では確定判決を既に得ていることを前提とさせていただきます。

<執行令状(Writ of Execution)の取得>
裁判で勝訴した場合、敗訴した被告が自発的に判決内容を支払うこともありますが、もし自発的に支払わなかった場合、勝訴した原告は判決内容を実現するために、判決の執行を求めなければなりません。そのためには、まず、第1審裁判所に対して執行令状(Writ of Execution)の発行を求める申し立てを行います。執行令状が発行されますと、裁判所所属の執行官が具体的な判決内容の実現を行います。フィリピンでは、金銭支払いを求める判決の執行の方法としては、以下のものが定められています。 1.即時支払い: 執行官が被告のもとに赴き、直ちに判決内容の支払いを行うように要求します。かかる要求を受けた被告は、現金、証明付き銀行小切手(certified bank check)、その他原告が認める方法での支払いを行う義務を負います。 2.差し押さえ(Levy): 1.の方法によっても、債務全額の支払いに満たない場合、執行官は被告の所有物に対して差し押さえを行うことが可能です。被告は差し押さえの対象となるものを選択することができますが、もしその指定がない場合、執行官はまずは動産、それでも足りない場合は不動産を差し押さえます。差し押さえられた動産・不動産は競売にかけられ、競売により得られた対価が債務の支払いに充てられます。 第三者差し押さえ(Garnishment): 第三者差し押さえは、被告の資産が第三者の管理下にある場合に行われます。具体的には、債権、銀行預金、金融証券、ロイヤリティ、手数料等が含まれます。例えば銀行預金の場合、執行官が執行令状のコピーを銀行に送達し、銀行は被告の預金口座の残高から執行官に指示された金額を送金し、執行官が受領した金銭を原告に支払います。

<満額の支払いがなかった場合の手続>
執行官は執行令状の発行から30日以内に判決内容を実現することができなかった場合、その旨を裁判所に報告することが求められています。かかる事態が発生した場合、原告は裁判所に対して申し立てを行い、裁判所は被告を法廷に呼び出し、その財産状況等について調査することが可能です。さらに、原告の側で第三者が被告の財産を保持していることに関する証拠がある場合には、その第三者を裁判所に呼び出し、尋問をすること等も可能です。
 
 

結論

A.執行令状の発行を求める申し立てを行うことにより、執行官が判決内容を実現するための活動を行います。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


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