フィリピンでの仲裁【フィリピン法律あらかると第九十八回】
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『フィリピンでの仲裁』
今月の事例
Q.フィリピンにも仲裁機関はありますか?
国際的なビジネスに関する紛争を解決するにあたっては、裁判手続を利用するのではなく、仲裁による紛争解決を図ることが増えています。特に、フィリピン法人との間で紛争となった場合にフィリピンにおいて裁判を行うことには懐疑的な外国企業が多いと言えます。そこで、フィリピンにおける仲裁につき、概説させて頂きます。
<フィリピンの仲裁に関する法令>
フィリピンにおいて法人形式で行っているフィリピンにおいて仲裁について定めている法令としては、①民法、②仲裁法(共和国法第876号)、③2004年ADR法(共和国法第9285号)および④2009年ADRに関する裁判所特別規則(A.M. No. 07-11-08-SC) が挙げられます。このうち、仲裁法が仲裁に関する一般的な手続規定となっており、2004年ADR法は第4章において国際商事仲裁に関する規定を置いています。特に、同法は第19条において、国際商事仲裁に関しては国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の国際商事仲裁に関するモデル法に準拠することを規定しています。
なお、現在上院で継続審議となっている法案(2013年フィリピン仲裁法案;第231号議案)では、医療過誤、海事、保険、知的財産及び企業内紛争につき仲裁を義務化することを内容としていますが、現時点ではその成立の見通しは立っていません。
なお、現在上院で継続審議となっている法案(2013年フィリピン仲裁法案;第231号議案)では、医療過誤、海事、保険、知的財産及び企業内紛争につき仲裁を義務化することを内容としていますが、現時点ではその成立の見通しは立っていません。
<フィリピンの仲裁機関>
フィリピン法人との間で取引を行うにあたり仲裁条項を契約書に盛り込む場合、外国法人としては自国または少なくとも第三国での仲裁を目指すことになると思われますが、ここではフィリピンにおける主要な仲裁機関を挙げさせて頂きます。もっとも、現時点では、フィリピン国内の仲裁機関による国際仲裁の数は多いとは言えません。
(1)フィリピン紛争解決センター (Philippine Dispute Resolution Center Inc.; PDRCI) https://pdrci.org/
1996年にフィリピン商工会議所(PCCI)の仲裁委員会を前身として創設された非株式、非営利の仲裁機関であり、建設業に関する紛争を除き、一般的なビジネスについて仲裁等を行う機関です。
(2)フィリピン紛争解決国際センター (Philippine International Center for Conflict Resolution; PICCR) https://piccr.com.ph/
2019年にフィリピン統合法曹会(IBP)により創設された非株式、非営利の仲裁機関であり、PDRCI同様、建設業に関する紛争を除く、一般的なビジネスについて仲裁等を行う機関です。
(3)建設業仲裁委員会 (Construction Industry Arbitration Commission; CIAC) http://construction.gov.ph/
貿易産業省(DTI)の外部組織であり、建設業に関する紛争について、専属的な仲裁管轄権を有します。
(1)フィリピン紛争解決センター (Philippine Dispute Resolution Center Inc.; PDRCI) https://pdrci.org/
1996年にフィリピン商工会議所(PCCI)の仲裁委員会を前身として創設された非株式、非営利の仲裁機関であり、建設業に関する紛争を除き、一般的なビジネスについて仲裁等を行う機関です。
(2)フィリピン紛争解決国際センター (Philippine International Center for Conflict Resolution; PICCR) https://piccr.com.ph/
2019年にフィリピン統合法曹会(IBP)により創設された非株式、非営利の仲裁機関であり、PDRCI同様、建設業に関する紛争を除く、一般的なビジネスについて仲裁等を行う機関です。
(3)建設業仲裁委員会 (Construction Industry Arbitration Commission; CIAC) http://construction.gov.ph/
貿易産業省(DTI)の外部組織であり、建設業に関する紛争について、専属的な仲裁管轄権を有します。
<仲裁合意>
当事者間で紛争が生じた場合に仲裁による紛争解決を図ろうとする場合、当事者間で前もって紛争が生じた場合は仲裁により解決することについて文書で合意(仲裁合意)がなされていることが必要となります。そして、仲裁合意の内容としては、仲裁により紛争を最終的に解決することへの合意、どの仲裁機関の規則に従うか、どこを仲裁地とするかについて最低限記載することが必要と言えます。なお、これらに加え、仲裁人の数や使用言語等について定める場合もあります。
仲裁判断をフィリピンにおいて実現する方法につきましては、改めて解説させて頂きます。
仲裁判断をフィリピンにおいて実現する方法につきましては、改めて解説させて頂きます。
結論
A.一般的な商取引に関する紛争の主要な仲裁機関としてはPDRCIとPICCRが挙げられます。
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
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