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【フィリピンでの従業員解雇についてパート2】フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第十五回

『こんな従業員は解雇できますか?(2)』

  前回からはいろいろな事例に基づき、従業員を解雇することができるのかどうかについてお話させていただいております(前回のフィリピンあらかると に掲載されていますので、見逃された方は是非ご覧ください)。今回もまた別の事例の場合についてお話しいたします。

今月の事例

当社の就業規則には従業員に対して抜き打ちでドラッグテストを行い、その際に陽性の結果が出た場合には直ちに解雇することを定めています。今回抜き打ちのドラッグテストで陽性反応が出た従業員が出たのですが、解雇することに問題はないですか?

 

許されるドラッグテストとは?

従業員に対してドラッグテストを行うことは、やり方を間違えれば従業員から人権侵害であるとして拒絶される可能性もあります。しかし、多数の従業員がいる職場に薬物の影響下にいる従業員がいることは好ましくないことも疑いようありません。そこで、包括的危険薬物法(共和国法第9165号)及びDOLE省令第53-03号(いわゆる、私企業におけるドラッグフリーな職場環境とプログラム実施のためのガイドライン)は、ドラッグフリーな職場環境の保全のために雇用主が行うべきことを定めるとともに、併せて公表されている就業規則のサンプルの中でドラッグテストが許される場合を以下のとおり規定しています。

ランダムテスト

会社が任意に定めるインターバルで行う抜き打ちテストであり、会社がランダムで選択した従業員にテストを受けさせることができます。

正当な理由に基づくテスト

従業員が薬物の影響下にあると感じた場合(その従業員の周りに薬物の証拠が発見された場合や、薬物の影響下にあると思われるような行動が見られた場合など)には、いつでもドラッグテストを受けさせることができます。

アクシデント発生後のテスト

「ニアミス」事故(危うく他の従業員の身体又は雇用主に対する相当程度の損害を発生させかねない事由が生じた場合)や「労働上の事故」が薬物の使用又はその影響のために引き起こされたと思われる場合にはドラッグテストを受けさせることができます。

なお、ドラッグテストは保健省(Department of Health/DOH)の定める手順に従って、DOHにより認可されたテスト機関が行う必要があります。テストの結果は受検者に必ず通知される必要があり、もしテストの結果陽性となった場合には、会社の評価機関が結果を検討し、どのような処遇を行うかについて決定します。また、ランダムテストの結果は1年間有効であり、その間は、②または③のテストの要件に該当しない限り、再度テストの対象とすることはできません。

 

薬物利用を理由とする解雇ができるか?

ガイドラインでは10名以上を雇用する雇用者に対して、薬物乱用防止対策を行うことを義務づけるとともに、従業員が薬物を利用したことがわかった場合にリハビリテーションや治療を行うことに関する規定も置かれています。それでは、会社は従業員がドラッグテストの結果陽性とわかった場合にその従業員を直ちに解雇することはできないのでしょうか? 

この点についてはガイドラインが発行された2003年以後に出た判決においても、抜き打ちで行われたドラッグテストの結果陽性であることが判明した従業員を解雇した会社の判断を認めた判例が出ています。具体的には、職場でのドラッグの使用は著しい非行(serious misconduct)にあたるとして、労働法296条に基づき懲戒解雇が認められることとなります。ちなみに、会社が従業員に対して抜き打ちのドラッグテストを受けるように命じたにもかかわらず、これを拒絶した場合も雇用主の合法な命令に故意に従わなかったものとして懲戒解雇が認められることになります。なお、解雇が認められるとしても直ちに解雇が認められるものではなく、通常の懲戒解雇の場合と同様に、書面により通知し、反論の機会を設けるなどの適切な手続を経る必要があります。

結論

法律及びDOLEのガイドラインに従って行われたドラッグテストの結果陽性反応が出たのであれば、解雇することに問題はありません。ただし、法に定める手続を経ることが必要です。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


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フィリピン法律あらかると 前回のコラム

『こんな従業員は解雇できますか?(1)』 今回からはフィリピン人従業員を解雇することができるかどうかについてケースに分けてお話しいたします。

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