日本を離れ、外国で暮らす私たちは、フィリピン以外の国の様子も興味津々!
世界各国で生活する日本人の方々の、その国ならではの暮らしをご紹介します。
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「飲んで歌って、7日間!?スペインで見た『サンフェルミン』」
毎年7月7日、日本では織姫と彦星に願い事をしている頃、私の住むスペイン北部の街パンプローナは、赤と白の衣装を身に着けた人達で埋め尽くされる。『牛追い祭り』として有名なパンプローナのお祭り『サンフェルミン』。7月7日から一週間続くスペインの三大祭で、毎朝「エンシエロ」と呼ばれる牛追いが行われる。
旧市街地の通りに設置された846.8メートルのコースを、躍動感溢れる牛が人々の熱気と歓声に混じって駆け抜ける。これがサンフェルミン最大の見せ場、一見の価値ありの大迫力シーン!…とはいえ、ゴールの闘牛場までは約5分。朝早く場所取りをして牛を待ち構えていても、たった数秒で嵐のように目の前を過ぎていく。さぁ、このあと何しよう?
『牛追い祭り』と翻訳されたサンフェルミンだけど、牛追いだけでなく、闘牛もコンサートも「ヒガンテス」と呼ばれる巨人人形のパレードも、私達を十分に楽しませてくれる。そして何よりの楽しみは『飲む』こと。バル(スペインの居酒屋)で、道端で、広場で…どこに目をやっても、みんなプラスチックのコップを片手におしゃべり。祭りの期間中は飲んで歩けるように、バルはガラスのコップではなくプラスチックのコップを用意している。
それくらい、みんな所構わず飲んで笑って歌って踊って、7日間をお祭り騒ぎで過ごすのだ。『牛追い祭り』というよりも、老若男女、国籍を問わずに皆で楽しむ『無礼講祭り』といった方がシックリくるかもしれない、なんて思う。
そんなサンフェルミンで私が一番好きなのは、まだエンシエロも始まらない早朝。芝生で泥のように眠っている観光客、千鳥足で家路に向かう若者、普段通り花に水をやるセニョーラ、エンシエロに向けて一人静かにストレッチに励むセニョール。道には山になった空き瓶やプラスチックのコップ。そこからこぼれたワインが甘酸っぱいニオイを漂わせる、静かな朝。この匂いを嗅ぐと、今日もサンフェルミンが始まるぞっ!と、胸が高鳴るのだ。さぁ、胃腸の調子を整えて、いざサンフェルミンへ!
<コラムニスト紹介>
セボジッタ
2008年にスペイン人の夫と結婚し、スペインでの生活を開始。
写真とイラストでスペインの日常をつづる、『ゆるゆるスペイン主婦日記』を更新中。
セボジッタさんのブログ「ゆるゆるスペイン主婦日記」:http://ameblo.jp/yumeyumeyudannasaranuyou/