日本を離れ、外国で暮らす私たちは、フィリピン以外の国の様子も興味津々!
世界各国で生活する日本人の方々の、その国ならではの暮らしをご紹介します。
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「スコットランド人の愛するもの」
子供の頃、大好きだったマンガ「キャンディ キャンディ」。そのマンガのヒロインであるキャンディの初恋の人は“丘の上の王子様”。タータンチェックのスカートにバグパイプを吹きながら突然現れたハンサムな少年に、キャンディは一瞬にして心を奪われてしまった。
それを読んでいた私のハートも一緒にズキューンと打ち抜かれた。キャンディのように私の前にも王子様が現れたらいいなあ。私の王子様はいったいどんな人なんだろう…と夢を見ていた少女時代。まさか自分の未来の王子様がマンガと同じタータンチェックのスカートを履いたスコットランド人だなんて、その時には思いもしなかった。
タータンチェック柄の巻きスカートのようなものは、スコットランドの民族衣装で正式にはキルトという。タータンチェックの柄は家紋と同じで、姓によって柄や色が違うのだ。私が初めて王子様(夫)に会ったのは東京。その時、彼はキルトを着てバグパイプを吹いていた!嘘みたいだけどホントの話。それから、いつどこで会ってもキルトを着ていた彼。なぜ、この人はいつもスカートなんだろうと不思議に思いつつ、その頃の私は控えめな女性だったので彼に聞くことが出来なかった。
それから数年後、スコットランドに住み始めてその謎が解けた。スコットランドの男性はキルトをとても愛している!自分の国の民族衣装をとても誇りに思ってる。だから彼らにとってキルトの着用度はとても高い。
結婚式の時はもちろんのこと、友人宅でのカジュアルなパーティー、サッカーの試合の応援など、自分が着たい時にキルトを着用するのだ。冬には厚手のセーター、夏にはTシャツをトップに、キルトは何にだって合う。大柄で背が高いスコットランド人の男性にはキルトがとても良く似合う。キルトを着て石畳の町を颯爽と歩く姿は、思わず見とれてしまうほど。ちょっとイケメンだったりすれば、そのままついて行きたくなってしまう衝動にかられるぐらい。
友人の結婚式で3歳の息子はキルトデビューした。普段は子どもの着る服に興味を全く示さない夫も、この時ばかりはキルト選びに真剣だった。初めてキルトを着た息子を見る夫の眼差し…それはとっても誇らしげだった。息子もキルトが大好きになり、キルトを愛する男性になって成長していくんだなあと思うと私も嬉しくなった。キルトを着たまま駆け回る息子の後ろ姿を見つめながら、どうか世界一キルトの似合う素敵な男性になりますように…と私は願った。
<コラムニスト紹介>
ポー
2008年3月、日本からスコットランドの首都エディンバラに移住。マイペースなスコットランド人の夫、絵を書くことが大好きな6歳の娘、仮面ライダーになりたい3歳の息子と家族4人で暮らしています。
ウイスキーが大好きなので、子育てが落ち着いたら蒸溜所めぐりをしたいなと夢みています。日々感じた事、子ども達や夫の事をブログにしています。
ポーさんのブログ「私 スコットランドに住んでます。」:http://ameblo.jp/japanscot823/