国際通貨基金(IMF)のブログホーム: https://blogs.imf.org/に、「アジア通貨危機から20年、何を見て何を学んだか」が掲載されている。執筆者は2015年3月にIMF 副専務理事に就任した古澤満宏氏である。その内容は次のとおり(以下、ブログホーム:掲載文とほぼ同文)。
『今日アジアは世界の中で最も急速に成長している地域であり、世界の経済成長への最も貢献している。そのアジアから6カ国が主要20か国・地域(G20)に参加し、アジア地域の経済的及び社会的功績は広く知られるところである。しかし、20年前の1997年7月にアジア通貨危機が始まり、経済、金融、企業の問題があいまって信認の急激な失墜と同地域の新興市場国からの資本流出を引き起こした。危機は7月2日タイを中心に始まった。それまでのドルペッグ制が外れたバーツが急落、ついには韓国、インドネシア、その他の国にも拡大した。
アジア危機から20年を迎え、アジア地域が今日では新たな経済的ショックに対処する準備が整っているかを問いかけるいい機会である。その問いに、「はい、もちろん。」と申し上げたいと思う。確かに、見過ごせない脆弱性が依然存在するのも事実である。特に、国によっては企業及び家計の債務が高止まりしている。それでも全体的には耐性が強化されている。
アジア危機はその性質においても、またその深刻度においても前例のないものであった。対外経常収支の急激な変動、深刻な景気後退、増大する失業、そしてとりわけ貧困層が顕著だった生活水準の大幅な低下がその特徴である。例えば、インドネシアでは1年も経たないうちに13%以上も産出量が失われた。しかし、大多数の国々では初期の景気減速が非常に急激であったにもかかわらず、回復は驚異的であった。アジアは嵐を乗り切り過去10年にわたり世界の経済成長の主要な原動力として浮上した。