2020年5月28日
フィリピン財務局の発表した速報値によると、2020年4月の財政収支は2,739億ペソの赤字となり、前年同月の869億ペソの黒字から赤字に転落した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの悪影響で歳入が39.1%減少したのに対し政府支出が108.1%増と急増した結果である。納税申告月である4月の財政収支は通常黒字となるが、今年はCOVID-19という突発ファクターで大幅赤字に転落した。
4月の歳入は前年同月比(以下同様)39.2%減の1,878億ペソ。そのうち1,249億ペソが税収(シェア67%)だった。内訳は、内国歳入庁(BIR)が61.6%減の905億ペソ。大幅な減収は、ルソン全域並びに地方で実施された強化されたコミュニティー隔離(ECQ)措置とそれによる納税期限の延期に起因する。同様に関税局(BOC)の税収は33.4%減の344億ペソに落ち込んだ。
一方、非税収(シェア33%)の財務局(BTr)は405.0%増の528億ペソと大幅増、政府系企業が共和国法(RA)第11469号に準拠して配当金等を前倒しで納付したことによる。民営化の収益と手数料などその他収入は6.6%増の101億ペソ。
4月の歳出は108.1%増の4,617億ペソと急増。これは、社会改善計画(SAP)及び小規模ビジネス賃金助成金(SBWS)計画第一弾、市町村へのバヤニハン(相互扶助)助成金、政府のその他復興再生対策などの実施のための資金を拠出したことによる。利払い額は7.0%減の219億ペソで、歳出全体の4.7%を占めた。
2020年年初4カ月間では、累計赤字が3,479億ペソに達し、前年同期から約103倍膨らんだ。歳入は前年同期3.4%減の9,630億ペソ。内訳は、内国歳入庁(BIR)の税収が20.5%減の5,593億ペソ、関税局(BOC)は7.1%減の1,797億ペソ、その他税収が11.5%減の67億ペソ。一方、非税収の財務局(BTr)は297.2%増の1,640億ペソ、その他収入が5.8%増の532億ペソであった。
年初4カ月間の歳出は31.1%増の1兆3,109億ペソ。そのうち利払い額は8.0%増の1,418億ペソで、歳出全体の10.8%を占めた。
歳出から歳入と利払い費を除外して算出されるプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)に関しては、4月は2,520億ペソの赤字転落。年初4カ月間では2,061億ペソの赤字に転落した(前年同期1,279億ペソの黒字)。