2020年6月2日
新型コロナウイルス対策として地域隔離措置が緩和されたことから、各種インフラ開発が再開され、フィリピン初の地下鉄プロジェクトである日本支援の「マニラ首都圏地下鉄事業」が始動しつつある。
マニラ首都圏地下鉄事業は、深刻な交通渋滞の緩和を目的に計画されたもので、首都圏北部ミンダナオ通りとアキノ国際空港が位置する南部ウエスタンビクタンを結ぶ32.4キロメートルの地下鉄区間に、13駅舎と1車両基地を整備する。清水建設JVは、先行して部分開業する6.9キロメートルの区間に、3駅舎(タンダンソラ駅、キリノハイウェイ駅、ノースアベニュー駅)と1車両基地、それらを結ぶ3区間に計6本(上下線各3本)、総延長9.3キロメートルのシールドトンネルを建設する。昨年11月に契約したその1工事には、タンダンソラ駅と車両基地、シールド機の調達と開削トンネル工事が含まれ、工期は67カ月。契約したその2工事には、キリノハイウェイ駅、ノースアベニュー駅の主要躯体建設工事及び、シールドセグメントの調達が含まれ、工期は49カ月である。なお、その3工事でシールド工事と2駅の建築設備工事が発注される予定である。
6月2日付けビジネスワールド紙などによると、このマニラ首都圏地下鉄事業の当初計画では、設置される駅数は13駅とされていたが、フィリピン運輸省は17駅に増やす意向とのことである。新たに増える駅は、イースト・バレンズエラ、ラウトン、セナタ、ニノイアキノ国際空港ターミナル3、ビクータンに設置される。当初予定のカエタノ・ブルバード駅は、ロウトン駅とセナタ駅にとって替わられるとのことである。
マニラ首都圏地下鉄事業(第一期)のE&M(Electrical & Mechanical)システム入札の応札期限が当初予定の3月17日から6月30日まで延長されたとのことである。E&Mシステムとは、車両を運行させるための基本システムであり、車両、電力供給、信号、通信、設備管理、検修管理などの各システム、装置、機器類などで構成される。マニラ首都圏地下鉄事業(第一期)のE&Mシステム入札に対し、1月21日の時点で、既に、三井物産、三菱商事、住友商事の3社が入札書類を購入したと報じられている。その後、日立製作所、丸紅と鉄道事業で連携している現地建設最大手のDMコンスンヒも入札書類を購入したとも報じられている。