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【フィリピン経済ニュース】日系子会社や関連会社の9カ月決算、総じて大幅増益に

2021年12月1日

フィリピン証券取引所(PSE)上場企業の2021年9ケ月間(1月~9月)の企業業績発表が出揃ってきた。PSE上場の日系企業や提携先の比上場企業の決算資料などから入手できる主な日系企業の業績動向は以下のとおり。

 

当然のことながら、新型コロナウイルス感染再拡大やその対策としての断続的な地域隔離措置現価格の影響を受けているが、非常に不振であった前年同期比では大幅増益となった企業が多い。もちろん、業種により回復度は異なる。また、巣篭り需要の恩恵を受けている企業もあるし、フィリピン航空のような大幅赤字という企業もある。

 

1.PSE上場の日系子会社の動向

 

<パナソニック マニュファクチャリング フィリピン(PMPC、会計期末は3月末)>
PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.78%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2021年9月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。

2021年度上半期(4月~9月)の売上高は前年度同期比)24.9%増の55億6,953万ペソへと大幅増加した。純利益は142.3%増(約2.4倍)の1億1,401万ペソへと大幅増加、新型コロナ禍直前の2019年度上半期1億3,861万ペソの82%の水準にまで回復した。

 

<マブハイビニール コーポレーション(MVC社、東ソー子会社)>
MVC社は1934年にマブハイラバー社として設立され、1960年に化学品、PVC製品事業を開始した。1965年から苛性ソーダ年産4千トンの生産能力で生産・販売を開始し、1966年に現在の社名に変更した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきている。

 

1997年2月にPSEに上場した。東ソーは2015年にMVC社を子会社化、2020年9月末の保有比率は87.975%となっている。三菱商事もMVC社への出資を継続(2020年9月末で6%を保有)するとともに、原料の塩類を供給してきている。

 

2021年9カ月間(以下、各社同様)の売上高は前年同期比(以下同様)1.9%増の15億4,503万ペソ、出荷増で増収となった。原材料価格上昇で原価が6%上昇したことで粗利益は3%減の6億5,910万ペソ、帰属純利益は8.2%減の2億1,869万ペソと小幅ながら減益なった。新型コロナウイルス禍で、出荷量が増加、底堅い業績推移だったと言えよう。

 

2.PSE上場現地企業と日系企業の合弁企業動向

<トヨタや三井物産出資のトヨタモーター フィリピン>
GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)株式51%を保有するトヨタモーター フィリピン(TMP)の売上高は49.2%増の943億ペソ、帰属純利益は112.3%増(約2.1倍)の44億ペソに達した。小売ベースの販売台数は46.1%増の9万2,318台と堅調で、業界全体の増加率25%を大きく上回った。TMPの市場シェアは45.8%に達し、前年同期の39.2%から大幅上昇、首位の座をさらに強固なものとした。TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTCAP51%となっている。

 

<日清食品合弁企業のニッシンURC>
日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ コーポレーション(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ コーポレーション」(ニッシンURC)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。

 

新型コロナウイルス禍のなかでニッシンURCの業績が好調に推移している。URCの事業報告書によると、ニッシンURCの売上高は5%増の58億2,700万ペソ、純利益は11%増の7億6,300万ペソで増収増益決算となった。比較となる前年同期が17%増収19%増益と新型コロナ禍でも絶好調であったが、2021年の収益は更に拡大基調となっている。巣篭り需要の恩恵を享受していると言えよう。

 

<キリン出資のサンミゲルビール>
キリン ホールディングス(キリン)が約48%出資しているサンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の販売数量は7.5%増加、売上高は13%増の821億ペソと二桁増収であった。増収とコスト節減との相乗効果により、営業利益は23%増の182億ペソ、純利益は27%増の140億ペソへと二桁増加した。新型コロナウイルス感染再拡大、飲食店での定員規制、一時的な店内飲食禁止など依然収益抑制要因も多ったが、低調であった前年同期からは回復している。

 

3.日系マイノリティ出資のPSE上場企業動向
<NTTグループ出資のPLDT>
普通株式ベースでNTTドコモが10.55%、NTTコミュニケーションズが5.85%出資(2021年9月末現在)、すなわち、NTTグループが普通株だけで16.4%を保有している当地最大の通信企業であるPLDT(証券コード:TEL)の収入は8%増の1,439億ペソに達した。テレワーク機会の増加、デジタル化等による通信量拡大などが寄与した。費用が14%増の1,130億ペソと膨らみ、帰属純利益は4%減の188億ペソにとどまった。ただし、資産売却益、資産評価損益など一時的損益等を除いた通信事業のコア利益は10%増の231億ペソへと二桁増加した。

 

<住友鉱出資のニッケル アジア>
住友金属鉱山が約26%を保有する当地最大のニッケル鉱山企業であるニッケル アジア(証券コード:NIKL)の収入は39%増の210億6,000万ペソ、帰属純利益は168%増(約2.7倍)の61億7,000万ペソと大幅増収増益になった。ニッケル鉱の販売価格の上昇が寄与した。9カ月間のニッケル鉱販売量は3%増の1,440万ウェットメトリックトン(WMT)、1WMT当たりの加重平均実勢価格は39%増の27.96米ドルだった。

 

<大和証券出資のオンライン証券COLファイナンス>
大和証券グループ本社が14.6%出資する有力オンライン証券会社であるCOLフィナンシャルズ グループ(証券コード:COL)の収入は53.1%増の10億5,783万ペソに達した。特に、売買手数料収入が78.6%増の8億1,790万ペソへと急増した。9カ月間のフィリピン証券取引所(PSE)での売買額が30.1%増加したことにくわえ、COLの売買シェアが9.9%と、前年同期の7.0%から急上昇したことによる。このシェア急上昇は、新型コロナウイルス禍でオンライン取引需要が一段と高まったことによる。

 

近年フィリピンにおいても証券オンライン取引が普及してきており、COLの顧客数が急ピッチで増加してきている。2021年9月末のCOL顧客口座数は前年同月末比18.4%増の47万8,673に達している。2010年末の3万5,519からは約11年で13.5倍に増加している。

 

<三菱商事出資のアヤラコーポレーション>
名門アヤラ財閥の旗艦企業であり三菱商事が約6.6%出資するアヤラコープ(証券コード:AC)の収入は19%増の1,825億ペソ、純利益は39%増の240億ペソ、帰属純利益は70%増の194億ペソと二桁増収増益決算となった。ビジネス環境は依然厳しかったが、不振であった前年同期からは急回復という結果となった。ただし、一時的損益を除いたコア純利益はほぼ横這いの193億ペソであった。

 

傘下企業・グループ企業の帰属純利益は、アヤラランド(証券コード:ALI)が35%増の86億ペソ、バンク オブ ザ フィリピン アイランズ(証券コード:BPI)が1.8%増の175億ペソ、グローブテレコム(証券コード:GLO)が13%増の179億ペソ、マニラウォーター(証券コード:MWC)が6%増の34億ペソ、ACエナジー(証券コード:ACEN)が22%増の43億ペソと総じて増益であった。

 

<三菱UFJ銀行出資のセキュリティバンク>
三菱UFJ銀行が20%出資する有力商業銀行であるセキュリティバンク(証券コード:SECB)の純営業収入は32%減の275億ペソにとどまった。主力の融資業務などによる純金利収入は12%減の205億ペソ、サービス料・手数料など非金利収入は59%減の70億ペソへと双方が二桁減少となった。貸倒引当が81%減の41億ペソにとどまったことで、税引前利益は103%増の76億ペソへと倍増した。

 

しかし、法人所得税引当が28億ペソへと急増(前年同期はマイナス29億ペソ)したことで、帰属純利益は27%減の48億ペソへと二桁減少した。依然、新型コロナ禍の影響を受ける結果となった。なお、リスク加味自己資本比率(CAR)は20.1%、普通株式中核自己資本比率(CET1)は19.5%と高水準。

 

<ANA出資のフィリピン航空持株会社>
ANAホールディングス(ANA)が9.5%出資するフィリピン航空の持株会社であるPALホールディングス(証券コード:PAL)の営業収入は29%減の322億ペソにとどまった。大幅減収は、新型コロナウイルス感染再拡大やその対策としての外出・移動制限ともなう旅行需要の減退が響いた。人員削減などのコスト抑制策を強化したことで、営業費用も37%減の428億ペソへと削減された。しかし、費用が収入を大きく上回ったことで帰属損失額は218億ペソに達した。ただし、前年同期の帰属純損失額285億ペソからは24%の縮小となった。

 

その他の記事

フィリピン証券取引所(PSE)上場の不動産企業の2021年9カ月間(1月~9月)の事業報告書提出がほぼ出揃った。

フィリピン統計庁(PSA)によると、2021年10月の総合インフレ率(消費者物価指数、2012年=100)は4.6%と前月から0.2%ポイント鈍化、3カ月ぶりの低水準となったものの、2021年年初から10カ月連続の4%台であった。

2021年のフィリピンの新車販売は、長引く新型コロナウイルスパンデミックや感染力の強い変異株出現など環境は依然厳しいが、非常に不振であった2020年との比較では二桁増加ペースとなっている。

2021年8月の包括的フィリピン人海外就労者(OFW)本国送金額(速報値)は前年同月比4.8%増の28億8,900万米ドル。前年同月比で7カ月間連続の増加となった。

米国フォーブス誌が、10月12日、「世界最高の雇用主」ランキング2021年版を発表した。このランキングは市場調査企業スタティスタと共同で毎年作成しており、今年で5回目の発表となる。

10月10日にフィリピン政府通信社は、「統計庁(PSA)予備報告によると、2020年の出生数は急減、34年間で最低となった」と発表した。

2021年ノーベル平和賞は、フィリピンのネットメディア「ラップラー」の共同創設者であり最高経営責任者(CEO)であるマリア・レッサ氏と、ロシアのリベラル紙「ノーヴァヤ・ガゼータ」編集長のドミトリー・ムラトフ氏に授与される。

アヤラ系の発電企業ACエナジー(PSE証券コード:ACEN)は、10月6日、フィリピン証券取引所(PSE)回覧06648-2021号を通じて、「丸紅100%子会社であるAXIAパワーホールディングス(AXIA)と、ACENグループとのリサール州のクイックレスポンス発電所(150MW)が稼働する」と発表した。

経済産業省は、日本の企業の国際展開や、海外での業況を把握することを目的に、日本企業の海外現地法人の海外事業活動に関する調査を実施し、四半期毎に公表している。この […]

上院は、9月20日、小売業自由化法の改正のための両院合同委員会の調整案を批准した。この改正法案は、外国の小売業者のフィリピン小売市場参入の資本要件を250万米ドルから50万米ドル、または約1億2,500万ペソから2,500万ペソに引き下げるとしている。

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