REIT法成立10年後に発行の動き、株価に好影響
フィリピンでは、2010年2月9日に不動産投資信託(REIT)法が発効となった。REITは、不動産からの収益を投資家へ還元する金融商品のうち、とくにその受益権が証券として扱われる不動産特定目的会社、及びこの会社が発行する証券などを指す。このREIT導入が、不動産・インフラ開発推進、投資対象の拡大、証券取引所活性化(REITはPSEに上場)等の効果をもたらすとの期待が高まった。
しかし、その後、税制や公開比率を巡っての意見対立が続き、REIT法成立10年後の現在も未だREIT発足に至っていない。フィリピン証券取引委員会(SEC)や証券取引所(PSE)はREIT上場・運用ガイドラインの草案を作成し、それに関する関係者や投資家の意見聴取などを行ってきたが、意見集約が困難な状況が続いてきていた。内国歳入庁(BIR)も、2011年7月25日、収入規則2011年13号として、REITに関する規則草案などを発出した。しかし、REITを発行する不動産企業などにとって税制が厳しすぎること、上場時の浮動比率が40%以上で数年内に67%に引上げなど上場基準が厳しすぎたことなどから、REIT創出、上場という動きは出てこなかった。
REIT法発行後10年が経過しても、REITがスタートしていない状況を打破すべく、SECはREIT発行企業への課税軽減や上場時の最低浮動比率33%への引き下げなどを打ち出した。このような状況のもとで、フィリピン初のREIT発行が視野に入ってきた。
最近不動産大手のALIが、SECに対して、フィリピン初のREIT発行・登録申請を行ったとのことである。発行規模は250億ペソから260億ペソとなる見込み。SECの承認後は、PSE上場認可取得などが必要となるが、SEC発行申請が報じられた4月24日、PSEでALIが人気化した。株価は48.10ペソまで上昇し高値を更新した。終値は前日比2.1%上昇の48ペソとなった。ALIと並ぶ有力不動産企業であるSMプライムホールディングス(SMPH)の株価も堅調、不動産株価指数は前日比0.93%上昇した。