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【フィリピン経済ニュース】日本企業による改修・維持でMRT3号線運行飛躍的向上

2021年7月13日

フィリピン運輸省(DOTr)は、「日系企業連合(住友商事や三菱重工エンジニアリングなど)による改修・保守により、マニラ首都圏における都市鉄道『マニラ メトロレール トランジットシステム3号線(MRT3)』が飛躍的に改善、運行も大幅に改善され、利用者は速くて、便利で、快適なMRT3乗車を満喫している」とコメントした。

 

DOTrによると、日系企業連合が再参画する以前(韓国の釜山交通公社などが維持・保守)のMRT3は、待ち時間が長い、乗り換えが不便という問題だけでなく、脱線などの事故、故障、運行の中断などが度々発生していた。故障した車両から乗客が次の駅まで線路を歩くという光景も珍しくなかった。

 

ツガデ大臣のもとでDOTrは、日系企業連合の支援を得て、MRT3の改修と保守に注力、レールや設備を大幅改善し脱線事故を皆無にした。運行車両は以前の10~15編成から23編成へと増加、運行速度は以前の時速30キロ以下から60キロへと向上した。また、すべての駅のエスカレーターやエレベーターも完全に機能するようになったとのことである。

 

なお、住友商事、三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング(MHIENG)とTES Philippines Inc. (本社:ケソン市、以下「TESP」)は、2019年5月1日、MRT3の改修および維持プロジェクトを開始した。

 

MRT3は1970年代に計画され、2000年に全線開業した。住友商事がMHIENG(当時、三菱重工業)をパートナーとして、高架構造物、駅、レール、信号、通信、変電設備、架線、車輌基地、電車を含む、全長17キロメートル、総駅数13駅の都市交通システム一式を建設したプロジェクトである(73両のチェコ製車輌を使用)。当時、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)が輸出信用を供与し、車輌部分にはチェコ輸銀が輸出信用を供与したものである。

 

保守・維持に関しては、住友商事と三菱重工グループが開業後12年間にわたって実施していた。当時のMRT3号線の運行は、住友商事と三菱重工によるきめ細やかな日々のメンテナンスサービスに支えられて安全・スムーズに行われていた。しかし、2012年10月に、これら日系企業との運営・保守業務契約が終了、その後、地場企業へ、韓国の釜山交通公社(BURI)へと変更が行われた。日系企業との契約終了以降に事故や故障の多発が目立つようになった。したがって、DOTrは2018年末、BURI連合との運営・保守契約を打ち切り、2019年初に元の日本企業連合に改修・維持プロジェクトを発注したという経緯がある。

 

新たな改修・維持プロジェクトにおいては、老朽化などにより稼働率が下落した車輌や設備一式を、通常運行を妨げることなく大規模に改修し、安全で効率的な路線への復旧を目指してきた。また、改修完了後も高い稼働率を継続維持するために、安全なメンテナンス体制も新たに構築する。2022年央(契約期間43カ月)に完工予定。契約金額は約355億円とされ、DOTrは、国際協力機構(JICA)による円借款により資金調達。2018年11月に総額381億円を限度とする円借款に関する交換公文の署名が行われた。

日系企業連合によるMRT3改修は急ピッチで進展しつつあり、日本製鉄八幡製作所製造の18メートルのレールに置き換えられてきている。過去のMRT3号線故障の主要因はレールのゆがみに由来しており、改修事業において、レールの全面交換が最重要。レール交換は、2019年11月から深夜の運休時間帯に実施されてきた。

 

 

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