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【フィリピン経済ニュース】世界初3D義足のインスタリム、比事業加速、3年内にIPO

2024年3月7日

比事業年率120%成長で黒字化、ウクライナ等10カ国超に展開へ

 

3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して、世界初となる3Dプリント義足製造ソリューション事業を日本、フィリピン、インドで展開するインスタリム(本社:東京都隅田区)は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱UFJキャピタル株式会社など計8社を引受先とする第三者割当増資と、2社からの融資により、シリーズBラウンドとなる総額9億円の資金調達を完了した。

今回の資金調達を通じて、海外展開をさらに加速し、2024年度にウクライナおよびインドネシアの展開を実施、続いて3年以内に10カ国以上を目標に事業展開を行う。

インスタリムは「必要とする全ての人が、質の高い義肢装具を手に入れることができる世界を実現する」というビジョンを達成するため、現在、フィリピンなど3カ国を事業地として、高品質・低価格な3Dプリント義足の製造・販売事業、義足・義肢装具の設計・製造ソリューションのライセンス販売事業の2本柱で事業を推進している。

フィリピンとインドでは既に2,800本以上の3D義足の提供実績があり、フィリピンではシェアNo.1を獲得しているなど、アジアを中心に急速に事業を拡大している。急拡大するフィリピンとインド事業の更なる加速と、2024年度に進出するウクライナとインドネシアにおける事業実施、および更なる海外展開を目的に、総額約9億円の資金調達を行った。

 

<第三者割当増資による調達先>

 

JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、三菱UFJキャピタル、アイティーファーム(IT-Farm)、第一生命保険、NIPPON EXPRESSホールディングス、米ペガサス・テック・ベンチャーズ運用のアクアクララレモンガスホールディングスとの共同出資CVCファンド、インクルージョンジャパン、リバネスキャピタル

 

融資による調達先>
株式会社日本政策金融公庫、大和ブルーフィナンシャル株式会社

 

<インスタリムについて>

3Dプリント義足を世界で初めて実用化した、2018年創業の日本発のディープテック・スタートアップ。この3Dプリント義足は従来品と同程度の品質を保ちながら、価格・納期・イニシャルコストを1/10以下に圧縮することができ、上記のようにフィリピン・インドですでに2,800本以上の製造・販売実績がある。

義足は一般に、一人一人の体に合わせて医学的に最適な形状を手作りでアナログに製作する必要があるため、義肢装具士の医学知識と技術力が必要である。よって、通常の品質のものでも1本あたり30~100万円と高価であり、また納期に通常1ヶ月程度を要する。そのため、開発途上国を中心に義足を購入できない人が、未だ世界に4,000万人以上も存在している。このような義足を購入できない人の殆どは仕事に就くことができず、貧困からの脱出が阻まれている。この深刻な社会課題は、これまで解決不可能として放置され続けてきた。

この社会課題を解決するために、インスタリムは義足製造をアナログからデジタルにDXする、3D-デジタル製造ソリューションをゼロから開発した。

 

<急増する糖尿病患者と、急拡大する義足マーケット>

下肢を切断する原因の8割以上が糖尿病性壊疽などの血管系疾患が由来である。よって、義足マーケットとはすなわち、糖尿病のターミナルケアのマーケットであると言える。糖尿病は無症状で進行するため、特に定期的な健康診断がない開発途上国においては、「気がついたら脚が壊疽している」というパターンでの下肢切断が多発している。 ゆえに糖尿病は開発途上国では「貧困病」とも言われ、患者数は増加の一途であり、2045年には7.8億人に達すると見込まれる(その9割程度以上が、新興国・開発途上国の患者だと言われている)。その一方で、インスリン等の治療薬は世界的に不足し続けているのもあり、この糖尿病の激増にかかる社会問題の根本的な解決策は、未だ見つかっていない。

このような世界的な事情により急拡大する義足マーケットは、世界市場規模としては2兆円規模であるとされており、インスタリムが事業展開するインドの義足市場は総計約750億円フィリピンの義足市場は総計約98億円と試算される。このような背景のもと、インスタリムは2019年よりフィリピンにて、また2022年よりインドにて現地事業を開始し、順調に売上を伸ばし続けている。

フィリピンでは2022年11月に単月黒字化した後も、年次成長率120%程度で伸び続けおり、インドにおいてはまだ販売開始から1年と少しであるが、月次成長率130%のペースで、鋭角的な立ち上がりを見せている。このような義足マーケットの需要急増に対し、より迅速に対応しスケールを加速させるために、フィリピンとインドでの自社製造にて実績を積み上げた3D-デジタル義足製造ソリューションを、世界各国の義足・義肢装具製作所に使ってもらうためにパッケージ化し、ライセンス提供する事業を、2023年度より開始している。

すでに、インドとフィリピン現地の複数の大手の義足製作組織に、インスタリムの3Dプリンタの納入が完了している。またこのライセンス事業にかかり、昨今の戦禍により義足需要が急増するウクライナに向けては、国連工業機関(UNIDO)から3D義足製作の技術移転プロジェクトに採択をされた他、この国連プロジェクト後の継続的な復興支援と現地でのビジネス展開を前提とした、ウクライナ現地企業との、ライセンス事業開始のための覚書(LOI)の締結が完了しており、先月2月19日の「日・ウクライナ経済復興推進会議」において発表が行われた。

インスタリムは今回のシリーズBラウンドの資金調達を通じて、このような海外展開をさらに加速し、2024年度に計画されているウクライナおよびインドネシアの展開を実施する他、続いてIPOまでの3年以内に10カ国以上への事業展開を行って行く方針である。

 

その他の記事

フィリピン運輸省(DOTr)は、2月16日、ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)の修復、拡張、運営、最適化、維持に関する事業(NAIA民パートナーシップ事業、推定総事業費1,706億ペソ)の入札において、サンミゲル(証券コード:SMC)連合が落札したと発表した。

情報通信事業などを展開する株式会社アイ・ピー・エス(IPS、本社:東京都中央区)は、2月15日、マナティ市のペニンシュラ・マニラにおいて、フィリピン国内海底ケーブルシステム(PDSCN)開通記念式典を開催した。

ヤクルト本社が40%出資するヤクルト フィリピン(比ヤクルト、持分法適用会社)は、2023年10月に事業開始45周年を迎えた。比ヤクルトは1977年5月25日に設立され、翌年の1978年10月に事業を開始した。

ブラザー工業(ブラザー、本社:名古屋瑞穂区)は、2月2日、製造子会社のブラザーインダストリーズ(フィリピン)(所在地:ルソン島南部バタンガス州タナウアン市ファーストフィリピンインダストリアルパーク)において第3工場が完成したと発表した。

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いすゞフィリピン(IPC、所在地:ラグナ州ラグナ テクノパーク内)の比トラック市場での強さが際立っている。

フィリピン自動車工業会(CAMPI)とトラック工業会(TMA)データによると、2023年のフィリピンの高級車(プレミアム・オートモービル)市場で、レクサスが首位となった。

三井住友銀行(SMBC、本社:東京都千代田区)は、1月23日、貿易産業省(DTI)傘下の投資促進機関フィリピン経済区庁(PEZA)とフィリピンの有力拡大商業銀行リサール商業銀行(RCBC、証券コード:RCB)との間で、フィリピンへの海外直接投資促進等への協力に関する業務提携の覚書を締結した。

地理位置情報技術や先端地図作成のスペシャリストであるTomTom(本社:オランダ・アムステルダム)は、1月10日、TomTomトラフィックインデックスの2023年版(第13版)を発表した。

日本政府観光局(JNTO)は1月17日、2023年12月の訪日外客数推計値を発表した。それによると、12月の訪日外客数は2019年同月比8.2%増の273万4,000人と新型コロナ禍後で単月過去最多となるとともに、12月として過去最高を記録した。

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