2019年11月11日
フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(SMC)が、11月8日、2019年9カ月間(1月~9月)の決算速報を発表した。
今9カ月間の純収入は前年同期比(以下同様)0.3%減の7,586億ペソ、営業利益は9%減の887億ペソ、純利益は5%減の397億ペソと小幅ながら減収減益決算となった。EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は1%減の1,230億ペソであった。損益面では、原材料費上昇や不安定な原油価格推移などが響いた。
SMCグループの食品と飲料事業が大統合して発足した「サンミゲルフーズ&ビバレッジ(SMFB)」の売上高は10%増の2,264億ペソ、営業利益は1%減の336億ペソ、純利益はほぼ横這いの229億ペソであった。増収にもかかわらず利益が伸び悩んだのは原材料価格の上昇などによる。
そのうち、キリン・ホールディングス(キリン)が約48%出資している、ビール製造子会社サンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の国内販売数量は9%増加、売上高は11%増の1,039億ペソ、営業利益は9%増の282億ペソ、純利益は12%増の198億3,500万ペソと好調であった。2018年まで3年連続での二桁増収増益が続いてきているが、2019年も好調を維持している。
洋酒事業を展開するヒネブラ サンミゲル(GSMI)の売上高は20%増の214億ペソ、営業利益は66%増の22億ペソ、純利益は68%増の13億ペソに達した。SMFBの食品部門(サンミゲル ピュアフーズ)の売上高は6%増の1,011億ペソとなったが、鶏肉価格の大幅下落などにより営業利益は53%減の32億ペソ、純利益は59%減の18億ペソへと急減した。一方、パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)の売上高は3%減の264億ペソ、営業利益は2%増の25億ペソと底堅く推移した。
多角化事業の一つである電力事業の売電量は22%増の2万1,581ギガワット、収入は18%増の1,051億ペソ、営業利益は16%増の300億ペソ、純利益は161%増(約2.6倍)の114億ペソ。スアル、イリハン、及びサンロケの発電所の売電量の増加や効率化、マシンロック発電所のフル寄与などにより大幅増益となった。なお、サンミゲルの電力事業は、2010年第3四半期から持株会社SMCグローバル・パワー・ホールディングスのもとに集約されている。
石油製品部門(元売り最大手のペトロン)の売上高は9%減の3,817億ペソ、営業利益は38%減の139億ペソ、純利益は70%減の36億ペソと不振であった。税制改革第2弾に伴う石油製品物品税の再引き上げによる需要伸び悩みや不安定な原油市況の動きが響いた。
更なる多角化、事業基盤拡大の過程で有利子負債が膨張、2019年9月末時点で8,320億ペソに達し、2018年末の8,020億ペソから更に拡大している。一方、現金残高も2,860億ペソと高水準。総負債対自己資本比率は2.06倍(2018年末2.28倍)、有利子負債対自己資本比率は1.44倍(同1.57倍)、純負債対EBITDA比率は3.06倍(同3.02倍)となっている。また、総資産は1兆7,650億ペソ(同1兆6,770億ペソ)に達している(19年11月8日のフィリピン証券取引所回覧07846-2019号などより)。