4億ペソに、売上高31%増の28.5億ペソ:PSE上場企業
東ソーは、コア事業である「ビニル・イソシアネート・チェーン」事業強化の一環として、2015年に、フィリピンのソーダ製品の製造・販売会社であるマブハイ・ビニール・コーポレーション(MVC社、フィリピン証券取引所{PSE}上場)の株式を追加取得し、子会社化した。2018年12月末時点での東ソーのMVC社株式保有比率は87.975%。三菱商事もMVC社への出資を継続(2018年12月末で6%を保有)するとともに、原料の塩類を供給している。
なお、「ビニル・イソシアネート・チェーン」とは、塩の電気分解(苛性ソーダ・塩素)から塩化ビニルモノマーに至る「ビニル・チェーン」と、ポリウレタンの材料になる「イソシアネート」を一連の流れとした、製品・原料一貫体制となる事業フローである。
MVC社は1934年にマブハイラバー社として設立され、1960年に化学品、PVC製品事業開始を決定した。1965年から苛性ソーダ年産4千トンの生産能力で生産・販売を開始した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきている。フィリピンで塩素を商業生産している唯一の企業でもある。また、国内の次亜塩素酸ナトリウム需要量の50%以上を供給している。2018年末の従業員数は154名である。
このMVC社の2018年(1月~12月)年次報告書によると、2018年の売上高は前年比(以下同様)31.3%増の28億5,349万ペソに達した。苛性ソーダの需要拡大や価格大幅上昇などが奏功した。
原料価格や輸入価格上昇などで製造コストも16%増加したが、増収率が大幅に上回っており、粗利益は74%増の9億9,225万ペソへと大幅増加した。営業費が4%増と小幅増にとどまったこともあって、営業利益は3.7倍の5億5,392万ペソ、帰属純利益も3.1倍の3億9,621万ペソへと急増した。
2018年の1株当たり純利益(EPS)は0.598ペソで、前年の0.191ペソから3.1倍となった。4月16日のPSEにおけるMVC社終値は3.70ペソであり、便宜的に2018年EPSをベースにすると、株価収益率(PER)は6.2倍と割安である。