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財閥系複合企業、2018年の利益首位SMインベストメンツ

2019年4月23日

帰属純利益371億ペソ、収入はサンミゲル1兆ペソで断トツ

 

フィリピン証券取引所(PSE)に上場されている財閥系複合企業の2018年(1月~12月)の決算が出揃った。
 
 下表のとおり、財閥系複合企業の業績はまちまちという結果となった。ただし、減益企業のなかでも、為替差損など一時的要因を除いた実質ベースでは増益となった企業もある。帰属純利益が前年比(以下同様)18%減の231億ペソとなったサンミゲルも一時的差損益などを除いた経常的利益は1%増の552億ペソ、すなわち実質1%増益決算だったと発表している。
 
 2018年の帰属純利益では、長年フィリピンの最富豪とされてきたヘンリー・シー氏(今年1月に死去)が率いてきたSMインベストメンツ(SMIC)が371億ペソで首位、第2位はアヤラコーポレーション(アヤラコープ)の318億ペソであった。両社は継続的かつ安定的な業績向上ぶりが注目されている。総純利益でもSMICが568億ペソで首位、2位がアヤラコープの551億ペソ、3位がサンミゲルの486億ペソであった。収入面では、電力や石油企業を傘下に収めているサンミゲルが24%増の1兆0,249億ペソで断トツであった。
 
 増益率(帰属純利益ベース)が最も高かったのは、フィリピン第2位の富豪とされてきたルシオ・タン氏の事業を統括(フィリピン航空を除く)するLTグループ社(LTG)の50%増益であった。傘下のフィリピン ナショナル バンク(PNB)の純利益が17%増の96億ペソへと拡大したこと、タバコ事業の値上げ効果などによる。
 
 一方、フィリピン第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループ傘下の持株会社であるGTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)の帰属純利益が6%減と低調であったのは一時的要因によるところが大きい。それは、2017年まで非常に好調に推移してきたトヨタ・モーター・フィリピン(TMP)の販売台数が税制改革の影響で17%減少、純利益が40%減の80億ペソへと大幅減少したことである。もっとも、80億ペソというTMPの利益は依然高水準であるといえる。
 
 ゴコンウェイ財閥傘の旗艦企業であるJGサミットが34%減益となったのは、格安航空会社(LCC)最大手のセブ パシフィック航空の純利益が燃料費高騰やボラカイ島の半年間閉鎖の影響などで51%減益となったこと、石油化学大手のJGペトロケミカル(JGP)の純利益が、原料費上昇、製品価格軟調、金融費用上昇などで82%減の11億ペソへと急減したことが響いた。すなわち、傘下の景気敏感型企業の不振が全体の二桁減益につながった。

 
 なお、ユーチェンコ財閥傘下の持株会社であるハウス オブ インベストメントの帰属純利益が8億ペソと低水準に見えるのは、リサール商業銀行(RCBC)など主力の金融事業が含まれていないことによる

 

主要なフィリピン財閥系持株会社の2018年決算動向(単位:億ペソ、総収入順で表示)

企業名 財閥名・総帥など 総収入 伸率 純利益 伸率 帰属純利益 伸率
サンミゲル コファンコ 10,249 24% 486 -11% 231 -18%
SMインベストメンツ SM 4,498 13% 568 12% 371 13%
JGサミット ゴコンウェイ  2,919 7% 279 -29%  192 -34%
アヤラコープ アヤラ 2,748 13% 551 10% 318 5%
GTキャピタル  メトロバンク 2,158 -10% 179 -16% 134 -6%
アボイティス エクイティ アボイティス 1,869 24% 313 7% 222 3%
アライアンス グローバル アンドリュー・タン 1,607 14% 237 6% 151 -0.4%
ロペス ホールディングス ロペス 1,254 20% 212 46%  59  39%
LTグループ ルシオ・タン 835 23% 206 41% 162 50%
メトロパシフィック パンギリナン 830 33% 222 17% 141 7%
DMCIホールディングス コンスンヒ 828 3% 198 -5% 145 -2%
フィルインベスト デベロップ ゴティアヌン 641 11% 134 31% 98 48%
ハウス オブ インベストメント ユーチェンコ 323 17% 12 -20% 8 -10%

(出所:各社の年次報告書などより作成、アライアンス グローバルは速報値)

 

その他の記事

日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ・ファミーリーの有力食品企業ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(URC)との合弁企業「ニッシン・ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション」を通じて即席麺事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。

モビリティIoT(Internet of Things:モノのインターネットワーク化)のベンチャー企業であるGlobal Mobility Service株式会社)は、4月5日、「2019年6月に開催されるG20の貿易・デジタル経済大臣会合において、世界各国の事業者や政府の参考となるビジネス事例として紹介されることが正式に決定した」と発表した。

家具メーカーのカンディハウス(本社:北海道旭川市)は、4月26日、フィリピン初の「カンディハウスショップ」をオープンする。カンディハウスは6年前からアジア・オセアニア地域で販売代理店を通じた営業を強化しており、フィリピンは同地域で9番目の進出先となる。

ドール(本社:東京都千代田区)は、Dole(ドール)「極撰バナナ」の新TV‐CM「生産者」篇を、4月5日から21日まで関東、関西含む全10エリアでオンエア。このCMは4K放送対応で制作しているので、美しい「極撰バナナ農園」の姿を、ドールのホームページのほか、全国の家電量販店の4Kテレビコーナーでも流される。

総合建設コンサルタントの長大は、2月19日に、フィリピンのマニラで開催された「フィリピンにおける低炭素技術の普及のためのJCMワークショップ」に参加、講演のために登壇した。 本ワークショップは日本環境省、フィリピン環境天然資源省(DENR)ならびに公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の共催で開催された。

ホテルオークラ(本社:東京都港区)は2017年に、フィリピンの「トラベラーズ・インターナショナルホテルグループ(トラベラーズ)」(本社:マニラ首都圏パサイ市)との間で、『ホテルオークラ マニラ』に関する運営管理契約を締結した。

フィリピン第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)が自動車販売金融事業も強化している。

農林中央金庫(農林中金、本店:東京都千代田区)は、ベトナム投資開発銀行(BIDV)、およびフィリピンのBDOユニバンク(BDO、本社:マニラ首都圏マカティ市)と、主に東南アジアでの金融業務にかかる相互補完と機能強化を目的とした業務提携の覚書(MOU)を締結した。

双日はフィリピンにおいて、小麦粉製造業及び小麦粉を中心とした食料原料販売と、パンの製造・販売に参入しつつある。

日本外務省は、3月18日、フィリピンについての海外安全情報(危険情報)の内容を更新した。危険度は以下の様に、これまでの継続となっている。

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